大泥棒が鎮守府にやって来る〜視察編・その2〜
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真っ先に始まるのは『軍縮』だ。そうなれば、今まで吸っていた甘い汁の湧き出る井戸は涸れ果ててそれを頼りに生きてきた虫けら共は飢え死にだ。その為の戦争継続を望む奴等は少なくない。
しかも今は艦娘という戦争の代行者がいるのだ、自らの手は汚さず、血も流さずとも英雄だなんだと祭り上げて貰える。出世も出来る。『戦争中の英雄も、戦争終われば人殺し』とはよく言ったもの。自らの欲の為にこの現状維持の泥沼に喜んで浸かっている輩は多い。……心底ヘドの出そうな話だ。
苦々しげな顔をしていたのか、次元の言葉に割り込むような形でルパンが言葉を繋いだ。
「悪いな、胸糞悪い話をさせて」
「いいさ、『水清ければ魚棲まず』ってな。世界は綺麗事だけじゃ成り立たねぇ。どこかで泥を被る連中がいないと行けねぇのもまた事実だ」
長々と廊下のど真ん中で立ち止まって話をし過ぎた。俺達は再び鎮守府視察に戻る為に歩き出した。
次に大淀が案内したのは道場だ。
「こちらは剣術や柔術、弓術といった戦闘に関する艦娘の鍛錬の場となっております。……あぁ、今ちょうど何名かが利用してますね」
畳の上では神通と那珂が徒手格闘の訓練をしているし、その隣ではウチの霧島と日向が木刀で打ち合いをしている。
「……斯様な鍛錬は必要でござるか?」
今まで口を開いていなかった五右衛門が口を開く。やはり本職は剣士、自分の専門分野の訓練を目の当たりにすれば気になる所だろう。
「まぁ、艦娘は今更ながら人の形してるからな。何が起こるか解らねぇからこそ、その為の備えさ」
艦娘も並の人よりは強いとは言え、そのコンディションは波がある。敵の捕虜になる事もあるかもしれないし、戦場で装備が破壊される事もあるかもしれない。それに、ルパンが連れてきた龍田を始め、刀や槍といった近距離戦用の得物を扱う者だっている。様々な状況下に対応出来るように鍛え上げるのも、提督である俺の役目だと思っている。
と、遠巻きに眺めていると神通が那珂の突っ込んできた勢いを利用して投げ、地面に押し付けた。そこに近寄っていく俺達。
「よぅ神通、精が出るな」
「あぁ、提督でしたか。お疲れ様です。……そちらの方々が例の?」
「あぁ、本土から視察に来たルパン提督とその補佐官と護衛の艦娘達だ」
「お初にお目にかかります、軽巡洋艦・神通です。このような格好ですいません」
「そう思うなら早く離してよ神通ちゃ〜ん!肩、肩外れちゃうって!」
投げた後に神通は畳に押し付けられた状態の肩関節を極めた状態で会話をしていたのだ。
「……ほどほどにしとけよ?」
苦笑いする俺に対して神通はニッコリ微笑むと、
「大丈夫です、私の妹ですからヤワな鍛え方はしてませ
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