大泥棒が鎮守府にやって来る〜視察編・その1〜
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から海上輸送の際の護衛任務を受注し、それによって報酬を得て運営予算に計上、私達艦娘の給与もそこから支払われています」
「つまり……現金支給か?」
「えぇ、そういう事になります」
「オイオイ、そいつはまずいんじゃねぇのか?だってそりゃあ傭兵稼業みてぇなもんだろうが」
補佐官の次元が口を開く。報告書によればこの男、ルパンと組む前は用心棒や殺し屋、傭兵等々裏社会での仕事に精通している。報酬の額等もおおよそ見当を付けているのだろう、きな臭い商売だと疑っているのか?
「その点は問題ありません。日本・ブルネイ両政府からも認可を得ている歴とした正規の依頼です」
「つまり、半国営の傭兵稼業ってワケだ。……まぁ、ウチの鎮守府がテストケースらしいがな」
このシステムの確立にも相当骨を折った。最初に立案した時には『前例がない』と突っぱねられたが、最終的には
「大本営のお歴々は同盟国であるドイツ・イタリアのみならず、協力関係にあるブルネイの油槽船団等が敵の手によって沈んでも良い、こう仰るんですな!?」
と演説をぶち上げ、大本営のモグラ共を納得させた。ほぼ恫喝のようにさえ聞こえるが、それだけブルネイの石油資源は日本にはデカい。
何せアジア最大の産油国は敵と繋がっている可能性が高いのだから、そこから輸入など望めるべくも無く、シーレーンが滅茶苦茶の今、中東やアメリカ等からの輸送も望み薄だ。…となれば、ブルネイの石油は日本の大動脈であり、その元栓を俺に掴まれるに等しい。黙り込むしか方法が無い。詰め将棋と寝技は得意分野なんだ、昔からな。
「な〜る程、熊みてぇなガタイかと思ったら、とんでもねぇ狸親父だったワケだ」
「よせやい、褒めても何も出んぞ」
ルパンと俺は互いにニヤリと笑い、言葉を交わした。
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