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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十四話 死者の代償
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帝国暦 489年 3月 13日 オーディン フェザーン高等弁務官府 ニコラス・ボルテック
「なるほど、では彼らはフェザーンを同盟領に併合しようと考えていたと」
俺の言葉にペイワードが顔を顰めた。
『言葉を飾らずに言えばそうなる。まあ彼らとて帝国を露骨に刺激はしたくあるまい。占領と言う形を取りつつ支配力を強化する、そんなところだろう。属国、いや植民地扱いだな』
植民地扱いか……、まあそれは今も変わるまい。フェザーンは占領下に有るのだ、本当の意味での独立など無い。いや、フェザーンが独立国であった事など一度もない。名目上は自治領であったのだ。であれば名と実が一致したという事か……。似たような事を考えたのかもしれない、隣に立っているルパートが唇を歪めた。はて、スクリーンごしではペイワードに分かったかどうか……。
まあ例え分かったとしてもペイワードは表面上は何も言わないだろう。ペイワードはルパートがルビンスキーの息子だと知っている。騙し討ち同然に帝国に連れてきたがそれに対してペイワードは何も言わない。ルパートに対しても俺に対してもだ。いずれ何かの取引材料に使うのだろう、そのあたりは評価できる。
自由惑星同盟でクーデター未遂事件が起きた。未発に終わったとはいえ規模は大きい。現職の国防委員長、艦隊司令官三人を含む高級軍人、さらに経済界からも著名な財界人の逮捕者が数名出た。
その狙いはフェザーンを同盟領に併合し軍事的にはイゼルローン回廊、フェザーン回廊を同盟の勢力下に置く事で帝国を防ぐ。そしてフェザーンの経済力を利用して国力を回復する、そんなところだろう。戦争好きの主戦派と慾の皮の突っ張った財界人が手を組んだわけだ。
フェザーンにおけるクーデター勢力を捕縛したのはペイワードだった。ペイワードはこの件でフェザーンの立場がかなり改善されると期待しているらしい。
まあ誰が次の高等弁務官になるのかは知らないが、前任者を捕縛した人間を軽くは扱えないだろう。ペイワードの期待は的外れと言う訳ではない。
フェザーンで事件が起きたのは二月の二十日、だがペイワードが俺に知らせてきたのは三日後だった。その頃にはこちらもおおよその事を知っていた。フェザーンには俺に好意を持っている人間もいるのだ。もっともその程度のことはペイワードも承知だろう。
連絡が遅くなった理由は後始末が忙しかったせいだと言っていたが言い訳にしか過ぎない。トリューニヒト議長からはあらかじめ事前に連絡が有っただろう。知らせる気が有ればその時点で知らせてきたはずだ。
つまりペイワードはこちらを信用はしていない。しかし、三日後であろうと知らせてきたという事はこちらには利用価値が有ると見ている。三日後というのはその辺の微妙さを表している日数だ。そしてオリベイラ捕
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