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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十四話 死者の代償
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でしょうか」
『……いや、いずれは分かる事だ。外す必要はないだろう』
ルパートの気遣いに対して少々間が有った。多少の迷いは有ったという事か……。ルパートが私を見る、良いのかと確認のつもりだろう。頷く事で答えた。向こうが良いと言っているのだ。遠慮する事は無い。
『同盟と帝国の間で和平を実現したい』
「和平、ですか……」
スクリーンでペイワードが頷いている。和平か……。ルパートも微妙な表情をしている。
「それは同盟政府からの依頼、そういうことでしょうか。それとも自治領主閣下のお考えということでしょうか」
『その両方だ。私が同盟政府に提案しトリューニヒト議長が賛成した。言ってみれば私は同盟政府の代理人、そんなところだな』
ペイワードが笑いを滲ませながら俺の問いかけに答えた。だが直ぐに表情を改めた。厳しい表情をしている。
『フェザーンの自主、独立を回復したいと思っている。そのためには帝国と同盟の和平が必要だ。両国の関係を改善しフェザーンの中立を改めて保証させる』
「……」
迂闊な事は言えない、帝国は和平など求めていないのだ。ペイワードに言質を取られる様な事は言うべきではない……。こちらの沈黙をどう取ってのか、ペイワードは同意を求めることなく話し続けた。
『フェザーンの繁栄のためにも両国の和平は必要だと思う』
「……」
『これまでのフェザーンの政策は帝国と同盟を噛み合わせ漁夫の利を得るというものだった。確かにそれは上手くいった、フェザーンだけが利益を得た。だがその事によってフェザーンは帝国と同盟、両国から不信を買った』
「……」
ペイワードが首を横に振っている。嘆いているのだろうがそれがフェザーンの国家方針だった。それ以外に両国の目をフェザーンから逸らし中立を維持する方法は無いと歴代の自治領主は考えたのだろう。
『フェザーンは交易国家だ、絶対的に他者を必要とする』
絶対的に他者を必要とするか……、おかしな表現ではあるが言いたい事は分かる。交易国家は単独では存在できない、常に他者を必要とする。
『その絶対的に他者を必要とするフェザーンが他者である同盟、帝国から不信を買った。その事がフェザーンの今に繋がっている』
「……」
その通りだ、フェザーン成立から百年が過ぎた。今現在、帝国にはフェザーンの現状に同情を寄せる人間は居ない。この百年、帝国がどのような目でフェザーンを見てきたのか、その一事で分かる。ザマーミロ、そんなところだ。
『これからのフェザーンは自主、独立だけでは駄目だ。共存という意識が要る。それが無ければ独りよがりな繁栄を貪るだけだろう。今同様疎まれるだけだ』
「……だから和平ですか」
俺の言葉にペイワードが頷いた。
『現実にこれ以上戦争が続けば帝国も同盟も社会基盤が崩壊
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