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魔法科高校の有能な劣等生
すれ違い、
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知られてたら俺は間違いなく開始数分でやられていただろう。
 上手く言えば作戦勝ちだ。
 これを作戦と呼べるのかはイマイチ微妙だけど勝ち残れたならそれでいい。
 「そう言えば、零宮の方はどうだったんだ?」
 「私? ぁぁ……うん。まぁまぁかな」
 あはははっとはぐらかすように笑う零宮。
 その様子だと勝ち進んだようだ。
 「そっか……俺も、頑張んないとな」
 次は本気で挑まないと勝ち進めない。
 このランク付けウィークの試合ではポイントを多く持った生徒が優先的に狙われる。当然だ、ソイツを倒せばポイントは倒した生徒に譲歩されるからだ。
 負ければポイント全損。
 勝てば倒した生徒のポイントを加算する。
 分りやすく、単純なルールだ。
 「水、ありがと。今度なんか奢るよ」
 「えっ。別に、そんなつもりじゃあ……」
 「いいよ。零宮には何回も助けてもらってるし、恩返しないとね」
 じゃあね♪っと笑顔で言って俺はその場を後にした。
 笑顔とは裏腹に、心の中で渦巻く黒いなにか。モヤモヤする、イライラする。
 なんで、こんな気持ちになんってんだよ。
 思い出したくない過去を思い出し、何の関係もない人を殺しそうになった。
 
 もう、なんか、嫌だ。
 
 
 
 
 
 
 
 「…………」
 
 男はあの一瞬、あの刹那を何度も思い出す。
 全ての無駄を省き、殺す事に特化したあの男の手「刀」あと、ほんの一瞬、試合終了のホイッスルが遅れていたら俺はどうなっていた?
 死んでいた。
 そう、俺は殺されていた。
 まさか、こんな事になろうとは思いもしなかった。半分、お遊びのつもりで俺は奴の実力を測っていた。生徒会長の精神汚染に対抗でき、それ相応の実力者なら仲間に引き入れようと考えていた。だが、どうだ?
 奴は、魔法を使わず、己の躰だけで勝ち進んできた。
 有り得ない、の一言だ。
 だが、奴はそれをやってのけた。
 この魔法科高校で、魔法を使用せず、肉弾戦のみで勝ち進んできたきたのだ。
 魔法師の面汚せ。と誰かは言った。
 だが、他の誰かはこう言った。
 魔法を使わずして、ここまで勝ち進んだ彼を止められなかった俺達が、魔法師の面汚せだ、と。
 どうやら、俺はとんだ勘違いをしていたようだ。
 男は立ち上がり、空を見上げる。
 
 「あぁ。俺もテメェも面汚せだ、この野郎」
 
 
 
 
 
 





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