すれ違い、
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、それは逃げでしかない。彼が自分を演じているのにはきっと理由がある。
私は本当の影君を見てみたい。
普段の愛想笑いじゃなくて、普通の少年の見せる顔を見せて欲しい。自分を偽って、自分の本心を隠して見せる笑顔じゃない本物の笑顔を。
「時間、かな」
携帯端末の電子時計で時間を確認し零宮は呟いた。
時刻は午後 5時。
今はランクアップ週間前なので生徒の下校時間は普段より早く、学校はとても静かだ。
そして、その静けさは利用できる。
「遅くなってすまない」
その男は時間通りにやって来た。
「いえ、時間通りですよ」
笑顔で応える零宮。
すると男は「ふっ」と微笑み。零宮の座るベンチの背後に歩み寄った。そして零宮の背後に背中を向け、お互い顔を見せないようにした。
「急にお呼び出しして申し訳ありません」
「可愛い後輩の頼みだ。別に構わんよ……いや、一ついいか?」
「はい?」
「何故、お前の膝元に愚民が居るんだ?」
互いに背中を向けているので顔は見えないが男の声は驚きで満ちていた。
「ちょっと色々ありましてね。その事も今回お話しすることに含まれてますので追々説明します」
「あ、あぁ……」
零宮はこれまでの経緯。
先程、起きた出来事を一から説明する。
そして納得のいくようないかないような表情になりながらも男は最後まで話を聞いた。
「あの女が、この男を?」
「はい。アイツは影君を操ろうとしていました。それもただの洗脳ではなく、魔法を使って」
「ということはこの男はあの女の洗脳に耐えきったという事か?」
「アイツが魔法を使ってまで操ろうとしてたってことはそうだと思います」
男は少し考え込む。
多分、私と同じ事を考えているのだろう。
「だが、その訳は……」
「それは私も解りません。ですが、もし仮に影君がアイツの洗脳から逃れられるのなら……」
勝機はある。
あの女に魔法を使う隙を与えなければ。
「愚民が、あの生徒会長を倒す切り札に成り得るか……」
目を細め、男は言った。
生徒会長の体質と魔法。これら二つを同時に発動すれば異性はあの女の虜になってしまう。だが、体質だけなら凝視しない限り洗脳されることはない。
もし、本当に無月 影が生徒会長の誘惑に耐えられたなら……これは大きなアドバンテージと言える。
「なんにせよ、ある意味では朗報だな。あの女に対抗できる唯一の男子生徒、この存在は大きい。
で、ソイツを仲間に引き入れるのか?」
「……」
「もし仮にあの女の洗脳から逃れられらなら攻略の糸口になる」
「それは……解っています。
ですが……」
零宮は口篭る。
無関係な無月を巻き込みたくない、と思っているのだろう。
「よ
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