すれ違い、
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────何故?
彼女が、ここに来る訳ない。
理由も無ければ根拠もない。だって、彼女がここに来る必要なんてないし。そもそもここに来る必要性がない。
だが、俺の視線の先。
生徒会室の扉の前に彼女は立っている。
居るはずのない少女はここに立っているのだ。
「貴女がここに来るなんて、珍しいこともあるものね」
「ふん、誰が来たくてこんな所に来るもんですか」
「あらあら、折角来たんですからお茶くらいは出すわよ」
「い・ら・な・い」
そう言って零宮は生徒会室に入り、真っ直ぐ俺の所にやってきて。
「大丈夫、無月君?」
────手を差し伸べてきた。
「ふふっ、ふふふふふっ」
なんて妖艶な微笑みなのだろう。
これも、精神汚染の影響なのか。その微笑みを一目見てしまっただけで思考が鈍ってしまう。
そんな微笑みを零宮は真っ向から睨み返している。
どうやら、零宮には精神汚染の影響はないようだ。
生徒会長の精神汚染は男を虜にするもの、女性である零宮には通じない。
だが、それを一目見てしまった俺は────。
突如、抑えられない『殺人衝動』がやってきた。
「あら、あらあらあら。
やはり、貴方は本当に面白いですわ」
「────。……────」
「ふふふっ。我慢なんてしなくてもいいのよ」
先ほどの精神汚染とは違う。
ただ、『殺』したいと思った。
目の前に映る、零宮を殺したいと思った。
手を差し伸べている零宮の手を切り落としたい……零宮の脚をへし折りたい。零宮を────ぶち壊したい。
なんで、こんな気持ちになるのだろう。
ふと、そう疑問に思いながらも俺は零宮の手を取り。
手刀「刀」を構えた。
あぁ、俺は一体どうしてしまったんだ。
「────零宮」
「はい、少し眠っててね」
「あらあら、野蛮人ですわね」
「うっさい。アンタにだけは言われたくない」
「あらあら、あらあら」
影君には悪いけど気絶させてもらった。
あの女の魔法に誑かされた人間の対処法だ。
とりあえず気絶させればいい。後遺症は少し残るかも知れないけど死ぬよりはマシだろう。
「それで、貴女は私に何の用かしら?」
「無月君の回収」
「あら、お優しい」
これとなくたわいのない会話をする二人の美女。
だが、何故だろうか。この美女達の会話は普通なのに普通じゃない。
「アンタ、ほんと最低ね」
「あらあら。それは褒め言葉ですわ」
「…………」
「あらあら、あらあらあら」
本当に、最低な女だ。
自身の特性と魔法を活かし、周囲の人間達の評価を書き換え、自分の優位性を周囲に知らしめる。
「ナルシスト」
「あら、その言葉……聞いたことがありますわ。
確か、自己中心的な人の事を指す言葉でしたかしら?」
「よく知ってるわね
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