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第七十五話 捕虜交換式典です。
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姿を消していた。残ったのはフィオーナとミュラーだけである。
「疲れただろう。どこか近くのレストランにでも食事に行こうか。」
と、ミュラーが言った。むろん公的には上級将官と部下の立場であるが、フィオーナは「公事はそれでいいけれど、私事の際にはそういうことは無用よ。あなたはそう言ったことをよく理解してよく実践してきているもの。」と言ったからである。むろんそうなったからと言って二人の関係は公的においてはいささかも私情をはさむことがなかった。
レストラン・アイフリードは彼女たちが借り受けているホテルのすぐそばにあった。少し待った二人は窓際の席に座って、メニューを見た後、同時にウェイターを呼び、期せずして顔を赤らめた。知己を得て、さらに公的な仲となってからも、この関係は変わらなかった。「二人は初恋同士の中学生そっくりの初々しさを持っていた。」と口の悪いビッテンフェルト等はそう表現したが、これはいささか酷というべきかもしれない。
二人がようやくその身にまとっていた甲冑を脱ぎ捨てることができたのは、一杯の赤ワインを飲んだ後だった。束の間の、貴重な至福の時間。だが、ミュラーの表情にはそれ以外の要素が含まれているような気がしていた。フィオーナがそれを尋ねると、ミュラーはばつの悪い顔つきになって、謝った。
「済まなかった。今回は何事もなく終わりつつあることにいささか安堵していたところなんだ。いや、本当にこれで終わったという結論でいいのか、悩んでいると言った方が正直なところかな。先の迎賓館襲撃、一体誰が犯人なのか・・・・。」
先ほどのレセプション・パーティーでフィオーナらは昨年の迎賓館襲撃の黒幕について断片的な情報を聞くことができた。結論としては、帝国の抗議と同盟の威信にかけた調査にもかかわらず、ついに特定の犯人を捕らえることはできなかった。だが、捜査の過程の中でいくつか奇妙な事実が浮上してきたのだとヤンはフィオーナらに語った。この報告は自由惑星同盟から帝国に対して行われているが、ヤン・ウェンリーはより詳細な情報を知っていた。中でも、現場に「地球はわが母、地球をわが手に。」という一片の布が落ちていたということは転生者たちの考えをある方向にもっていくのには十分だった。それは近年勃興してきた地球教のものであることは疑いがなかったが、それをもって直ちに彼らを犯人とすることはできなかった。帝国ならいざ知らず、同盟では証拠が十分にそろわなくては検挙できないのであるが、それをあっさりと破ってしまったのが他ならぬシャロンなのであった。
「・・・・・・・。」
フィオーナは当惑した顔をしながら、フォークとナイフを使う手をとめた。目の前にある白身魚のポワレ・ブールブランソースの香味が鼻をくすぐったが、話はそれどころではないようだった。
「私が思うところは『誰が?』ではなくて、『何の
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