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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十五話 捕虜交換式典です。
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あれ、実はほとんど私がぶっ壊したの。やっぱり車で迎賓館を走り回るっていうのはタブーなのね。」
これには自由惑星同盟一同、毒気を抜かれた様に呆然としていたが、やがて心底おかしそうに笑いだした。なんという豪快さ・痛快さではないか。ルッツもミュラーもしまいには笑い出し、双方の間に漂っていた硬い空気は完全に払われてしまった。
「ヤン閣下は少将でいらっしゃいますけれど、来年は中将に、つまりは艦隊司令にご昇進なさるのですか?」
フィオーナが質問した。その言葉にヤンは怖気すら感じさせるように手のひらを振って、
「いや、私はそんな器じゃありません。今でさえ過分な地位をいただいております。艦隊司令なんていう人の上にたつような性分じゃないんですよ。」
「ヤン、お前さんいつもそういうが、他人が失敗するときに一番点を稼ぐのはお前さんだろう?」
と、ラップ。フィオーナは尋ねる様な視線をビュコック中将に向けたが、此方は既にルッツやミュラーと会話を始めている。敵味方というよりも人生の先輩と後輩という立場から、3人の間には話が弾んでいた。
「・・・というわけで、女房をしてうまい料理とパリッとしたシャツを用意させるのもまた、配偶者の手腕如何というわけでな――。」
「小官らはまずその相手を見つけるところから始めませんと――。」
「・・・・儂の若いころにはよくダンスパーティーをしたものでな――。」
「ミュラー、卿はそのダンスパーティーで今の――。」
「提督、その話をどうしてそこでするのですか?第一――。」
切れ切れの断片を聞いているだけだったが、その会話は儀礼的な一線を越えて親密な会話を構築しているような気がしてならなかった。ファイフェル少佐もいつの間にかビュコック中将に誘われて会話の輪に加わっている。
「ヤン閣下。」
ふと、フィオーナはあることを尋ねてみる気になった。それを尋ねようと口を開きかけたが自制心がそれを思いとどまらせた。横に親友がいたからだ。だが、ティアナは話の合間を捕えてその質問をためらいなくぶつけていた。
「シャロン・イーリスという人を知ってる?」
ヤンが目を見開き、ラップが唖然とした顔をした。無理もない。何しろここに来てもいない、たかだか自由惑星同盟の一将官をなぜ帝国軍の将官が知っているのかと思うのは無理からぬことである。
「知っているわけね。」
ティアナが硬い顔をしながら、一息「ほうっ」と吐いたのち、言葉をつづけた。
「忠告しておくわ。その人は危険よ。それもかなりの物だわ。はっきりというけれど、そちらのヨブ・トリューニヒトよりもよほど危険よ。」
「どう、危険なんです?」
ヨブ・トリューニヒトという名前も出てきたことにも驚いたヤンとラップだったが、それ以前に危険という言葉が連発されたことになにやら不安の思いを抱いていた。
「何のためら
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