暁 〜小説投稿サイト〜
ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十五話 捕虜交換式典です。
[6/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を「静」とすれば「動」と表現してもいいほどのオーラを漂わせている。美貌であることはフィオーナと同等であったが、その眼は鋭く、口元と鼻梁には意志の強さがほとばしっていた。すらっとした体にはフィオーナ以上の闘志が満ち溢れているようであり、ほっそりした美しい脚はまるで台にくっついているかのように微動だにしていなかった。きっと引き締まった口元は動かなかったが、ふと、ヤン・ウェンリーと目が合った時、ふっと和むような顔になったのにはヤンは内心驚いた。彼女は強さ一辺倒だけではなく、ちょっとしたユーモアセンスも持ち合わせているらしいとヤンは思った。普通ならば他の将官同様謹厳実直な仮面をかぶり続けているはずなのだから。
 コルネリアス・ルッツ、ナイトハルト・ミュラーらのそのほかの将官も彼らの耳目を引いた。彼らは皆若く、時代の帝国軍がこれら若き将官にとって代わりつつあるのを感じないわけにはいかなかった。

 それは帝国軍にしても同様である。フィオーナもティアナも式典の最中にヤンと最初に目が合った時には、会釈して無事息災を無言で祝ったし、ルッツもミュラーも同盟の将官たちの風貌を見て並々ならぬ手腕の持ち主だとひそかにうなずき合っていた。


* * * * *
「ヤン・ウェンリーとはいかなる人物なのですかな?」
と、ここに来る途上、激務の合間を縫って行われた将官以上のごく少数の会食の席でルッツがフィオーナらに質問したことがある。この有能な指揮官はフィオーナらがヤン・ウェンリーの名前を口にのぼせているところをしばしば目撃していたので、ふと話題をとらえて尋ねてみたくなったのだった。
「今は准将か、少将あたりだったかと思います。」
フィオーナはアレーナの情報網からの報告を思い返しながら答えた。
「とても有能な方です。元帥となって全軍を指揮せしめれば、今頃私たちはここにこうしていることはできなかったかもしれません。」
「お言葉ですが、エリーセル閣下。」
ミュラーは普段はフィオーナと呼ぶのだが、さすがに軍務上であるからそうなれなれしくは呼ばない。代わりに上級将官に対する接し方よりもやや鋭い舌鋒になったことは否めなかった。
「ヤン・ウェンリーがどのような人物であるか、私たちにはわかりません。ですが、敵を過小評価することこれを愚だというのであれば、敵を過大評価することもまた同様なのではありますまいか?」
フィオーナは怒らなかった。代わりにティアナと顔を見合わせて、ちょっと困ったように笑った。何しろこちらの身元をばらしたところで信じてはもらえないだろうし、それはもっとずっと後にしようと話し合っていたからだ。
「ミュラー提督のおっしゃる通りです。」
フィオーナの答えはミュラーをして数秒黙らしめるに十分な意表をついていた。
「こればかりは実際にあの方と戦っていただい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ