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第七十五話 捕虜交換式典です。
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為に?』というところなのだけれど・・・。」
ミュラーの無言の問いかけに、フィオーナはフォークとナイフを礼儀正しく皿に戻して話をつづけた。
「目的はおそらく両者の和平の邪魔立てだということはわかっているわ。けれど、何の為になぜあのタイミングでそれを行うのか?それによってどういうメリットが生じるのか?戦乱に陥ることによって得をするのは誰か?そういう線から追っていくと、たぶん、当事者ではなく第三者ではないかと思うわ。」
「それが地球教徒ということかな?」
その言葉を聞いた瞬間、フィオーナの胸に言い知れぬ不安のような物が湧き出してきた。フェザーンが地球教と裏でつながっているというのは頭では認識していたが、それが実感となって自身の身の回りを黒い霧で覆い始めたのはこの時が初めてと言っていいのかもしれなかった。
「断定はしかねるのだけれど・・・・。」
フィオーナは言葉を濁した。前世からの知識をフル動員すれば、結論としてはそうなる。フェザーンが表だって出てきているからと言って地球教徒が噛んでいないとは言い切れない。フェザーンはあくまで表の顔で裏は地球教徒とつながりがあるのだから。
「仮に犯人が地球教徒だとして、この捕虜交換の際にも襲撃でも仕掛けてくれば、厄介になるかもしれないな・・・・。」
はっと、フィオーナは顔を上げた。
「どうしてそう思うの?」
彼女の質問とともに向けられた眼差しをミュラーはまっすぐに見返しながら、
「私は明白な論理は持ち合わせていないよ。ただ、あの時と今と、状況が似ていると思った。それだけなんだ。」
と、静かに言った。確かにあの時は自由惑星同盟と帝国との和平を邪魔立てするという目的があった。だが、今回は話が違う。何しろ今自分たちは他ならぬフェザーンにいるのだ。何か事が起これば真っ先にフェザーンに責任が及ぶ。それは地球教にとっても対岸の火事とはなりえないことは明らかではないか。

大丈夫だ、とフィオーナは自身に言い聞かせたが、どういうわけかいったん噴出した不安はいっこうに消えなかった。

その不安が具体的な形となって表れたのは、正確に15秒を数えた時だった。轟音、そして衝撃が二人のいるレストランの窓ガラスを立て続けに乱打し始めたのである。

宇宙歴796年、帝国歴487年4月21日午後9時18分の事であった。

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