プロローグ
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常夏の街━━
その場所は絃神島と呼ばれていた。太平洋上に浮かぶ小さな島。カーボンファイバーと樹脂と金属と、魔術によって造られた人工島だ。
その街にはある噂があった。
この街のどこかに 不死にして不滅。一切の血族同胞を持たず、支配を望まず、ただ災厄の化身たる十二の眷獣を従え、人の血を啜り、殺戮し、破壊する。世界の理から外れた冷酷非情な吸血鬼━第四真祖━が身を潜めていると──
絃神島は魔族特区。この街では吸血鬼の類いは珍しくもなんともない。それゆえ住民の大半はこの噂は誰かが考えたただの都市伝説だと心の底では思っていた。そう、つい2、3日ほど前までは──
━━2、3日ほど前━━
この日も常夏の島はいつもと変わらない穏やかな1日を過ごすはずだった。しかし、そうはならなかった。聖殲の叡智を手に入れたディミトリエ・ヴァトラーがグレンダを利用し咎神カインの遺産を召喚したことにより、禁呪 聖殲の祭壇である絃神島は聖域条約機構により破壊を決定され、後に真祖大戦と呼ばれる戦いが行われようとしたのであった。
しかし、その戦いは第四真祖である暁 古城や北欧アルディギア王国等の尽力により事なきを得たと思われたが、さすがの魔族特区の住民といえど1日にそれだけのことが起こるとストレスも貯まるし不安も募る。案の定住民はパニックを起こし人工島管理公社がなんとか押さえつけている状態だった──
ヴァトラーとの戦いを終え、ラフォリアや紗矢華と別れて戻ってきた古城達が見たものは悲惨なものだった。人工島管理公社関連の建物に押し寄せる者、魔族というだけで弾圧しようとする者、絃神島は自分たちがどうなるのかという不安に覆われていた。
呆然としていた古城達の中で最初に口を開いたのは雪菜だった。
「先輩…これは…大変なことになっていますね…」
「あぁ、あれだけのことがあったんだ無理もないさ…」
「古城?」歯がゆそうに街を見つめる古城に浅葱が心配そうに声をかける。
「ねぇ、古城ってば!アンタ大丈夫?」
「悪い、浅葱ちょっとぼうっとしてた」
「それはいいけど、アンタこれなんとかしなさいよ」
「そんなこと言ったって、オレになんとか出来るわけないだろ!?浅葱の方がこういうのはなんとかできるだろ、なんか偽のニュースを流したりとかさ」
「それくらいで収まることならいくらでもするけどそれじゃ無理でしょ!」
こんな時でもいつものように言い争いを始める2人に雪菜が呆れ始めた時
浅葱の携帯に着信が入った。
「浅葱か?傍に古城はいるか!?」
「何よ、基樹こんな大変な時に。古城なら今横にいるけど…」
「そうか、そりゃよかった。古城の携帯に何回かけても繋がらないから探したぜ。なら、話は早い。今すぐ古城をキーストーンゲートに連れてきてくれ、迎えは那月ちゃんに頼んである
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