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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
813部分:第百二十六話 先の先をその七
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第百二十六話 先の先をその七

「オリンポスの神々も天闘士達も全てだ」
「倒される」
「そうされると」
「思えばあの神々はだ。アベルもだ」
「はい、陥れてです」
「そのうえで」
「消し去った。あくまで己達のことしか考えていない」
 辛辣であった。今戦っている聖闘士達よりもアテナよりもだ。激しい敵意と憎悪を見せてそのうえで言葉を発するアーレスだった。
「己達だけだ」
「確かにアベル様に関しては」
「あの方も眉を顰められました」
「アベルに何の不徳があったのか」
 アーレスはそのことについても言う。これは二つの影だけでなく彼自身への自問でもあった。あえてそれをそうしてみせたのである。
「何があったのか」
「はい、ありませんでした」
「何一つとして」
 二つの影の返答が返って来たのはすぐであった。
「ですがそれでもです」
「アベル様は」
「ただ。オリンポスの神々の中でとりわけ秀でていた」
 そのアベルという神のことについての話だった。
「そう、とりわけだ」
「しかしそれ以外には」
「何も野心もやましいことも」
「一切ない方でした」
「ただ。聡明であられ心が清らかで魅力があっただけです」
「つまり秀でていただけだった」
 アーレスの語る言葉がさらに苦々しいものになった。
「それだけだった」
「しかしそれが彼等の妬みを買い」
「そのうえで」
「滅ぼされた。あの時は私もアテナも反対した」
 この時はだというのだ。アーレスとアテナ、対立する二柱の神々がこのことについては意見を完全に同じにさせたというのである。
「アベルには。滅ぼされる理由はなかった」
「あの方もそう仰っていました」
「そして海界の主ポセイドンも」
「わかっていなかった、いやオリンポスの者達は危惧していたのだ」
 アーレスのその言葉が険しいものになった。
「アベルに。彼等が越されそして支配されることをだ」
「その野心がなくともでした」
「しかし彼等はそれでも」
「力があった。彼等よりもだ」
 またアベルについての話だった。
「その結果だ。全てな」
「アベル殿が討たれたのは」
「それによって」
「アベルが蘇り復讐を考えたとしても」
 言葉に陰惨なものが宿った。
「その時はだ」
「その時はですか」
「アーレス様はどうされるのですか」
「止めはしない。復讐は当然の権利だ」
 血生臭い戦いを好むアーレスらしい言葉だった。
「その場合はだ」
「止められませんか」
「決して」
「そうする。それが正しい」
 復讐を肯定する。まさにアーレスだった。
「この場合はな」
「では。その様に」
「ここは」
「そういうことだ。それではだ」
 ここまで話してであった。
「まただ」
「またですか」

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