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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第159話 追儺
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えてくれる。この大前提は必ず頭の隅に置いて置くべき情報だったから。
 そして、その何の裏付けもない……身に余る能力に振り回され、自滅して行く様を神の視点から眺める。奴に相応しい嘲笑を浮かべながら。
 彼奴が居る限り、この目の前で宙に浮かんでいる悪魔憑きが元々シャーマンの才能に溢れていたのか、それとも、他者の持っていない特殊な能力(才能)を望んだ人間にただ与えただけなのかは分からない。……と考え直したから。

 もっとも、こんな場所に乗り込んで来た挙句に、シモンの名前を持つ魔術師が宙に浮かんでいるのだから、コイツはおそらく後者の方……。
 伝承通り敗れるのならそれも一興。また、地球世界で最も読まれた本に記された伝承を打ち破り、宙に浮かぶ魔術師シモンが俺に勝利するのならそれもまた愉し。……と言う感じだと思う。
 いや、更に言うのなら、そもそもシャーマン系の術者は自らの能力を超える神霊や悪魔をその身に降ろす事は出来ない。もし、無理に自らの能力を超えた存在を身に降ろしたとしたらのなら……。

「小僧。貴様、死ぬぞ」

 ……コイツは単に能力を与えられただけ、そう考えた俺に対して、何を当たり前の事を言い出すのか、この悪霊は。……と呆れるほど当たり前の事を言い出すカブ頭(元ジャック・ヴォルフォール)

 確かにそれは世の理のひとつだな、そう前置きをした上で、

「大体、人間ならば何時かは死ぬ事となる。この運命からは絶対に逃れられない」

 万物は流転する。産まれ出でたモノは、何時かは滅びる定めを持つ。確かに永い、短い……の差は当然あるのだが、それでもこの運命から逃れられるモノなどいない。
 それが例え神に選ばれた英雄や救世主であったとしてもだ。

 彼我の距離は三十メートル以上、五十メートル未満。その距離を詰めるように。しかし、敢えて一歩、一歩、ゆっくりと歩みを進めながら、自らの言葉を締め括る。
 そう、多くのギャラリーの視線を一身に浴びながら、一歩、一歩着実に。

「あぁ、そうだな小僧。貴様ら異教徒に取って死とはすべての終わりを意味する言葉だ」

 オマエらに約束された未来は地獄の業火しかない。
 何処からそう言う論法が出て来るのか不思議な……。俺に死が終わりなどと言う思想は存在しないのだが、そう割と落ち着いた声音で答えを返して来るカブ頭。
 いや、この辺りの台詞はどう考えてもある種の宗教に由来する狂信者の言葉。つまりこれは、ジャック・ヴェルフォール自身が完全にカブ頭の悪霊に身体を乗っ取られている訳ではない、と言う事なのか。

「だが、貴様らの命日は今日だがな!」

 相変わらず三下風の口調を変える事もなく、そう叫ぶカブ頭。その瞬間――
 半透明の黒い大きな影。宙に浮かぶヴェルフォールの身体を包み込む
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