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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第159話 追儺
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が徐々に大きなヴォリュームと成り……。

「お前たちが悪魔の技を使う人ならざるモノ達だと言う事は最初から分かっていた事」

 正直に言うと、もう黙れ。耳が穢れるわ……と言いたくなるような不愉快な声で何かを言い始めるジャック・ヴェルフォール。ある意味、声を出すだけでこれほど俺を不愉快にさせる人間と言うのも凄いとは思うのだが。
 但し、だからと言って今、実力でその耳障りな声を止めさせる訳にも行かない。

 そんな二律背反に陥る俺。正直、さっさと奴の方から魔法を発動するなり、斬り掛かるなりしてくれた方が俺の精神衛生上良い結果を産む事は間違いないのだが。

「神に選ばれた本当の英雄の力を見せてやる。そして、地獄に行ってから後悔しろ!」

 我、理を越え――
 このハルケギニア世界の系統魔法では聞いた事のない呪文を唱え始めるジャック・ヴェルフォール。
 実は詳しい内容を知っている訳ではないのだが、確か炎系の系統魔法の呪文ならウル・カーノの入りで唱え始める事が多いはず。……と言うか、その単語の詳しい意味もよく分からない、基本とする言語が地球世界で何処の言葉なのかさっぱり分からない呪文の言葉。少なくとも地球世界のフランス語に近いガリア共通語とは違う言語で発動する『系統魔法』ではない……平易とは言い難いながらも、俺が聞いても意味の分かるガリア共通語で紡がれる呪文。

 ただ、よく分からないが、現状は少し慌てなければならない状況なのは間違いない。

「森羅万象を我が手に。現われ出でよ、炎の魔神よ!」

 表面上の泰然自若の雰囲気を崩す事なく、しかし、少し焦り気味に自らに物理反射及び魔法反射の神明帰鏡の術を施す。そして同時に周囲に張り巡らされている術式の種類の特定も仙術で行う俺。
 そう、間違いなく周囲に防御系の結界は施されている。
 そもそも、俺が召喚されたのは榊木と注連縄に囲まれた聖地。この世界から四角く切り取られた内側に発生した風も雷も一切、外側に被害を与える事はなかった。これは間違いなく俺の周囲に何らかの結界が施されている、と言う事。

 しかし、一体全体、このハルケギニア世界には何人の神に選ばれた勇者様が居るのだ、などと少し呆れ気味ながらも、新たな事態に対処しようとする俺。
 その瞬間――

 目の前の黒い魔法使いから発生していた気配が変わった。いや、当然の事ながら、現実に其処に存在している奴の姿形が変わった訳ではない。目深に被った帽子により表情が見え難い形は変わらず。更に、引き抜かれたハズの軍杖も何時の間にか魔術師のマントの内側へと消えている。
 姿形に関して言うのなら、奴は最初に現われた時のまま。

 しかし――
 しかし、矢張り何かが変わっていた。それは――

 僅かに浮かび上がるヴェルフォールの身
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