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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第159話 追儺
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ハルケギニア標準仕様の騎士様だと決まった訳ではないか。

 ならば――

【ダンダリオン――】

 どうせイザベラの控えの間にでも居るのだろう。そう簡単に考え、彼女に対して【念話で話し】掛ける俺。一応、こんな敵地のど真ん中にやって来るぐらいだから、この眼前の黒い魔法使いジャック・ヴェルフォールはハルケギニア的に言うとそれなりに実力のある魔法使いだと思う。それに、奥の手のひとつやふたつは準備しているのでしょう。
 但し、相手の能力がまったく分かっていないのに、こんな重要な場所にまでイザベラやダンダリオンが敵を侵入させるとも思えない。王の御前で開かれる召喚儀式の最中。それも、今のガリアの施策に少し否定的な貴族が集められた可能性の高いこの場で、この眼前の騎士様の処理に梃摺る(てこずる)ようでは、余計な反対派と言う連中を作り出して仕舞う可能性もある。
 そう考えると、この黒い魔法使いジャック・ヴェルフォールの能力に対する調べは付いている可能性の方が高い。ならば、その情報を教えて貰えれば、例え飛車角に香と桂を落とした状態でも問題なく勝てるはず。

 そう考えて彼女に対して呼び掛けた……のですが……。
 しかし……静寂。まるで空を掴むかのように何の反応もなし。
 うん? 俺が居ない間に何かあったと言う事なのか?

 少し不安に……と言うか、自らの式神の身を案じる俺。確かに、ダンダリオンと俺との間で交わされた契約が一方的に解除された可能性が無きにしも非ずだが、しかし同時に、その可能性は著しく低いとも思うのだが。
 何故ならば、約束通り、彼女が生体を維持出来るレベルの龍気の補充は為されていたから。ガリア王家、イザベラもケチではないので、彼女やガリア王家からの依頼に対する報酬に関しても不満はなかったと思う。更に言うと、彼女らのような存在。俗に悪魔と呼ばれる存在に取って人間……特に能力の高い術者と契約を交わす事は一種のステイタスとなる。
 彼女らは某十字で表現される宗教家が主張するように俺が死んだ後の魂を求めている訳ではない。むしろ、彼女らと契約を交わした相手が生きている間に――。契約を交わしている間に、その契約者がどれぐらいの事を為したかが重要と成って来る。
 契約者が生存している世界に対してどの程度の事を為せたか。大きな影響を与えられれば与えられるほど、彼女らの世界ではステイタスとなる。
 そう言う意味で言うのなら、のべつ幕なしに厄介な事件に巻き込まれている俺との契約を一方的に解除する事に益はない……と思うのだが。

 気を抜いていた、と言うほど注意力が散漫と成っていた訳ではない。しかし、少し意識が目の前の敵から逸れたその瞬間――

 まるで地の底から響いて来るかのような陰気に染まった嗤い。それは最初、極小さな声でしかなかった物
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