第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#42
FAREWELL CAUSATIONU〜Double Detonation〜
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【1】
『LUUUUUUUUUUUUUUUUAAAAAAAAAAA
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――
―――――ッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!』
原型を留めないほどにズタズタに、墓も遺らないほどに微塵なく、
少女を被虐し餌食もうと猛進する血染めの獅子。
最早実力の差は歴然、近距離、中距離、遠隔での攻防でも勝ち目はない。
それを認識し受け入れたシャナの取った選択。
(さぁ、息が止まるまでトコトン行くわよ……
この空条 シャナには、たった一つだけ残されたとっておきの戦法がある……
また真っ向からバカみたいに突っ込んできたのがおまえの運の尽きよ……ッ!)
全身から立ち上る深紅の炎気、瞳に宿る黄金の光。
アラストールさえも瞠目する驚天動地の “手” とは――
「逃げる――ッッ!!」
(なぁ――!?)
『GUGAッッ!?』
急迫の心中で猛進の最中でソラトとアラストールが頓狂な声を発したのはほぼ同時、
凄爪が少女のいた場所で空転する。
静かな水音の後棚引く波紋、燃え立つ気炎とは裏腹に、
少女の存在はいとも呆気なくその場から消え去った。
『……』
死をも厭わぬ覚悟、策に頼らぬ勇気を差し示した者まさかの遁走に、
さしもの獣王も唖然と運河の前に立ち尽くす。
だが。
『LUGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
―――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
己を虚仮にする、誇りなき者の所業に獅子の鬣が烈火の如く逆立つ。
手負いの状況で、姑息な振る舞いで己から逃げ果せるとでも想ったか、
沿岸が氾濫する勢いで怒りの狂獣が少女を追走する。
少し離れて、河面に消えた二つの存在をみつめる瞳。
「……困りましたわね」
最大のスタンド使いエンヤに見込まれアラストールにもその才を認められた、
才気溢るる紅世の “自在師” その少女にも想わぬ 「弱点」 が一つ。
「泳げませんわ……」
宝珠のように白い素肌を、冷たい雫がゆっくりと伝った。
(逃げるって言っても水の中によ……!)
口唇に咥えた大刀、左肩は引きつるがそれ以外は鮮鋭なフォームで、
少女は魚の如く清流を掻き分けていた。
数刻前の無頼の貴公子同様シンガポールの美景に感謝、
視界はクリアーで滞留する遮蔽物もなく汚泥で五感が阻害される事もない、
寧ろ冷水で研ぎ澄まされる。
そして自分の優位はそのまま相手の枷に。
『LUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOO
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