812部分:第百二十六話 先の先をその六
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第百二十六話 先の先をその六
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「天界も」
「我等だけでそれをしてもいいのだがな」
アーレスはここでこうも言ってみせた。
「しかしだ」
「我等への義理ですか」
「それでなのですか」
「かつてのことは忘れてはいない」
アーレスは前を見ていた。そのうえでの言葉だった。
「いや、忘れる筈がない」
「あの方が貴方を認めてくれたこと」
「そのことをですね」
「そうだ、私も私に仕える者達も恩は忘れはしない」
強い言葉だった。そこには確かな心があった。
「決してだ」
「だからこそですか」
「我等もまた」
「先の聖戦でも私を迎え入れてくれたな」
「あれは当然のことです」
「その通りです」
彼等はそれをごく普通のことだと言ってみせたのである。
「貴方様だからこそです」
「それも当然です」
「当然だというのか」
「はい、ですから」
「御気になされぬよう」
「そうか」
彼等の言葉を受けながら頷くアーレスだった。
「ではそのまま受けさせてもらう」
「どうぞ」
「そうされて下さい」
「天界の神々に復讐をだ」
アーレスこそはだった。その思いを最も強く持っていたのだった。
それを隠さずにだ。言ってみせたのである。
「その為にはだ」
「まずはこの地上をですね」
「アテナの聖闘士達を」
「彼等を全て倒しそのうえで我が愛する僕達を再び蘇らせ」
こう言葉を続けていく。
「そしてそのうえでだ」
「地上を制し」
「我等をこの世界に解放され」
「そして天界だ」
ここまで話を見ているのだった。そこまでもだ。
「天界の玉座にだ。共に座ろう」
「あの方と共にですか」
「そうされると」
「私は恩のある相手に何かをすることはしない」
アーレスは確かな声で告げた。
「そう、決してだ」
「決してですか」
「我等とは」
「覇権は確かに私の生きる道」
それについてはこう言ってみせた。
「しかしだ」
「しかしですか」
「覇権よりもですか」
「天界で。私を認めず僕達まで愚弄してきた者達にだ」
アーレスの目に怒りが宿った。そうしてであった。
「私を愚弄するのも許せぬが何とか我慢する」
「それはですか」
「アーレス様御自身へのは」
「それ以上に許せぬのは。私についてきてくれる僕達を愚弄することだ」
「狂闘士達を」
「そしてエリス殿や四闘神を」
「そうだ、それが最も許せないことだ」
そしてであった。その怒りに燃える目での言葉だった。
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