811部分:第百二十六話 先の先をその五
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第百二十六話 先の先をその五
最後の最後までだった。全てを注ぎ込んできたのだった。
「何っ、貴様もか」
「言った筈だ、聖闘士は一つの戦いに全てを賭けるものだと」
「私に対してもか」
「アテナの為に死ぬ」
このことも言う。
「それならば何の問題もない」
「貴様はここで死ぬか」
「必要とあらば。喜んで」
こうしてだった。彼もまたその無数の星屑達に全てを注ぎ込んでだ。エリスに向けてきた。
「さあ、どちらが生き残るかだ」
「両方死しても後悔はせぬか」
「しない」
一言で返した言葉だった。
「何があろうともだ」
「ふふふ、面白い」
エリスの顔はさらに鬼気迫るものになっていた。
最後の最後まで出してそのうえでシオンにぶつけ続ける。だが結末は。
雲の糸がほつれた。それは最初は一本だけだったが全てにつながってだ。そしてそれで崩れたのだった。
「うう・・・・・・」
「終わったか」
「見事・・・・・・」
右手を床についていた。そのうえでの言葉だった。
「流石は教皇よのう」
「勝利は私のものだな」
「それは認めよう。行くがいい」
顔は上げていた。例え倒れ込もうとしているところでもだ。
「このままな」
「そうさせてもらう。それではだ」
「アーレス様に勝てるとは思わないことじゃ」
エリスは最後にシオンにこう告げた。
「それは無理じゃ」
「無理だというのか」
「アーレス様こそは絶対の存在となられる方」
またアーレスを讃える言葉だった。死を前にしてもアーレスへの忠誠は変わらない。
「何があろうともだ」
「そう言えるか、今も」
「何度もでもじゃ。そういうことじゃ」
「その心はわかった」
静かに返すシオンだった。
「ではだ。私は行こう」
「アーレス様、それでは」
最後の最後はだ。アーレスへの別れの言葉だった。
「勝利を。お待ちしております」
この言葉と共に姿を消した。霧の様に。
シオンもまた最後の戦いに向かう。そうしてだった。
アーレスはこの時だ。二つの影と話していた。その玉座にありながら。
「アーレス殿」
「いよいよですが」
「うむ」
その二つの影の言葉に応えていた。
「そうだな」
「落ち着いておられますが」
「動じたところは」
「ある筈もない」
やはり玉座にいたまま言ってみせるのだった。
そしてだ。彼等に対して告げる。
「それで貴殿等だが」
「はい」
「何でしょうか」
「間も無くこの世界に来てもらう」
こう告げるのだった。
「そしてその時にはだ」
「あの方もですね」
「この世界に」
「我等と貴殿等はかねてから深い絆を結んでいる」
「はい、確かに」
「その通りです」
二人もそのことは認めたのだった。
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