贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
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とにした。まだ力が回復しきれてないから変身はできない。そもそも人質を取る手段も好ましくない。戦いはフェアでやってこそ。それがメンヌヴィルのポリシーだった。これからずっと焼きたいと思っていた男を焼ける。それだけでも幸せを感じていた。
かくして、ウルトラマンと黒い巨人の戦いは…偶然と因縁の巡り合わせの果てに、コルベールとメンヌヴィルの20年前から続く宿命の決着に移行した。
コルベールの戦い方は、普段の彼からは想像もつかない身のこなしだった。当初のギーシュのような、魔法に驕ったメイジのようなぎこちない動きなどない。無駄のない動きで避けながら詠唱し、彼の炎はメンヌヴィルが放ってきた黒き炎を次々と飲み込んで消していく。
「嘘、先生って、あんなにすごかったの…?」
コルベールは頑なに戦いを避けたがる言動を慎むことなく豪語したが…そんな様など露程も感じない、戦い慣れした動きだった。かつて特殊な任を受けていたという話、やはり本当だったようだ。でなければあんな見事な動きができるはずがない。
「やるな。腕は鈍っていない…いや、あの時以上か。だが…俺も闇の世界に落ちて以来、あの時の何倍も上を言ったのだ!」
その通りだ、とコルベールはメンヌヴィルの炎を掻き消し、そして避けていきながらそれを悟った。
確かにメンヌヴィルの炎は、闇の力を手にしたことや20年物年月をかけて、コルベールが最後に彼と会った時の炎と比べてはるかに上回っていた。そのせいか、最初は善戦していたコルベールの動きが鈍り始める。彼もまた20年という年月を経た結果、若い頃よりも体力が長持ちしなくなっていたのだ。
次第に魔法で反撃できにくくなり、ただ避ける回数の方が増す。着ていたマントのうなじの辺りがわずかに焦げた。
「マントだけとは惜しい!だがどうした隊長殿!さっきから逃げ回るばかりになっているぞ!もっと楽しませてくれよ、あんたの炎を!そして嗅がせてくれよ、あんたの焼けた臭いを!」
たとえさっきの戦闘の影響でメフィストに変身できなくとも、コルベールを焼くだけの余裕はまだまだある。これぞとばかりにメンヌヴィルはホーミングする炎でコルベールを追撃する。たとえ目が見えなくとも、最も焼きたい人間がどこにいるのか温度でわかる。
次第に、コルベーるたちはキュルケたちからはるか遠くの位置の草原まで距離を置いていた。
「さあて、隊長殿。どうじっくり料理してやろうか?あのウルトラマンと一緒に焼いて、仲良く極上のステーキに仕立ててやろうか?」
勝った。メンヌヴィルは自らの勝利を確信した。ウルトラマンでもあるシュウのことを話に持ち上げた時、コルベールは押さえていた殺意をわずかににじませたが、唇を噛んで堪える。
「…メンヌヴィル君、お願いがある」
「なんだ?苦しまずに焼いてくれというのか?安心しろ、最期だから
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