贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
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がどこを探しても目に映るのは炎だけ。
そんなときだった。
燃え続けている建物の骨組みが崩れ落ち、アニエスの頭上から落下する。彼女はそれを避けられず、ただ恐怖で身を縮めるしかなかった。
「ひ……」
そんな彼女を、どこからか現れた大人が現れ、彼女を庇って背中にやけどを負った。アニエスはその人物に背負われ、燃え盛る故郷から脱出した。
そこから先は記憶にない。あの時自分を助けてくれたのが一体誰だったのか思い出せない。だがしかし、アニエスにはただひとつはっきりしたことがあった。
故郷を、家族をすべて奪い去った犯人を絶対に許せないと、いつか必ず殺して見せるという、冷たい感情。それが皮肉にも孤独に陥った彼女の生きる糧となった。
だが、その憎き仇の正体が…
「コルベールが……私の…仇…」
ここにいないサイトたちも聞いていたら間違いなく衝撃を受けていたことに違いない。
メンヌヴィルは確かに狂った男だ。だが嘘をつくような手合いではなかった。それに、コルベールは先ほどから肯定も否定もしてこない。…いや、肯定していた。言葉に発せず、ただそこにいるだけで彼はメンヌヴィルの言葉に対して、表情を険しくしていた。
今までに見せたことのないコルベールの姿に、キュルケとタバサが息をのむ。それはここ最近初めて知り合ったシュウとリシュの二人にも伝わった。
「なぁ、ミス・ツェルプストー。火系統の特徴を説明してくれ」
この状況で、講義の内容の確認でもするかのようにコルベールが、メンヌヴィルを見たまま尋ねてきた。戸惑いを覚えたキュルケだが、自分なりの回答を言葉にする。
「…情熱と破壊ですわ」
破壊、その単語でやはり…と心の中でコルベールは思った。
「情熱はともかく、破壊だけではさびしい。そう思っていた」
目を伏せ、コルベールは思い返す。
『先生、考えてみてください!このまま手をこまねいてたら…この村だけじゃない!トリステインはあいつらに破壊されてしまうんですよ!それこそどうなんですか!?自分の国が壊されているのに、あなたは黙って見ていろだなんて!!
あなたの愛する生徒もいつかは、あいつらの餌食になることになるんですよ!』
脳裏によぎるサイトの言葉。そして彼の勇気ある動き。たとえ相手が、怪獣という強大な存在だとしても決して逃げることなく立ち向かう。その姿は、コルベールには無謀とも取れた。だが…
「けど、君やサイト君の言うとおりだ」
彼はそのままキュルケたちに命じる。
「皆を連れて下がっていなさい」
「…はい」
言われた通り、キュルケとタバサはリシュと負傷中のシュウを連れて下がる。なるべく、今から起こりうる20年前の決着に巻き込まれないために。
メンヌヴィルは最初、変身しメフィストのままコルベールを焼いてやろうと考えたが、それはやめるこ
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