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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
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諭すように言う。
「あんたは…言ったな。コルベール先生に…『そんなことで皆が帰ってくるのか』と」
「だったらなんだ!」
「それはあんたが行おうとしていることにもいえることだ。わかっているだろ?あんたのやろうとしていることも…無意味な自己満足だということに」
「ッ…貴様…!!」
認めたくない言葉だった。一歩間違えれば、本当に彼に剣を振り下ろしかねないほどの殺気。だがその殺気に満ちた剣をシュウは恐れなかった。
「ましてや今のあんたは銃士隊の隊長。私情で殺人をするのか?それも子供の前で」
アニエスはそれを聞いて、思い出した。ここにいるのは、コルベールと生徒だけじゃない。幼い女の子であるリシュも同伴していた。リシュは憎悪に満ちたアニエスの顔を見て怯えている。自分を恐怖の対象として見ている彼女に、アニエスはハッとして僅かに剣を握る力が鈍る。だがそれを下ろすまでに、未だに至らない。
「…俺の上司も同じだ。あんたと」
「上司…?」
シュウの口から突如、思わぬ単語が出てきて、一同は耳を傾ける。
「俺の上司…俺は副隊長と呼んでいた。彼女もあんたと同じで、かつて両親をビーストに殺され、ずっと憎み続けてきた。18年、ずっと……」
剣を下ろさないままだったが、アニエスはシュウの言葉に耳を傾けた。
「けど憎しみは時に災いを呼ぶ。憎しみは御しきれないと周りの誰かを逆に不幸にする。あの人は俺に言っていた。
俺は詳しいことは聞いていないが、自分の憎しみが、何かしらの災いを呼んだことをあの人は悔やんでいる」
(憎しみが、災いを呼ぶ……?)
さっきから表情の変わらないタバサだが、シュウの口から語られる憎しみの話に、自分でも知らないうちに食い入るように聞いていた。
「今度は、騎士であるあんたが壊すつもりか?この人の手で作れるかもしれない生徒たちの未来を…生徒たちが抱くことになるあんたへの憎しみで。
自分の憎しみで、別の誰かの人生を、あんたや俺の副隊長のように、憎しみで染めるのか?」
「…………!」
今の自分の立場、同じ人間を増やす。それが、決定打になった。さらに……シュウの言う『副隊長』という単語で、運命を仇に振り回され不幸の内に死を遂げた銃士隊の副長だったミシェルの顔が浮かんだ。彼女も憎しみを糧に生きて、国を思って戦った。だが、最期はシュウの言う通り、自分の憎しみが国に災いを振り撒くこととなり、不幸の内に亡くなった。それが、アニエスが彼女の無念を引継ぎ、必ず仇を討つという意思の糧の一端になったのだが……それが間違いだと指摘され、どうすればいいかわからなくなった。
「アニエス君」
今度はコルベールがアニエスの前に出た。
「少し時間をくれ。まだやりたいことがあるんだ。この国の……ハルケギニアのために。
今までは逃避混じりの理由だったが、今度は違う。

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