暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
[2/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

メンヌヴィルは、自分の目の前にいる『それ』に対して、あの時よりも強さを増した炎を浴びせた。だが…『それ』はびくともしなかった。まるでそよ風でも浴びているようなすまし顔を浮かべているのを、彼は奴の温度から感じとった。
だめだ…俺はここでこいつに殺される。メンヌヴィルは死さえも覚悟した。だが『それ』は…ダークメフィストと名乗った黒い巨人は言葉を発した。

――――お前ほど、人間を殺して楽しむ人間は久しぶりに見た

「なに…?」
自分を殺さないのか?顔を上げるメンヌヴィルに、メフィストは覗き込むように彼に顔を近づけて話を続けてきた。

――――弱肉強食の世界に、正義も悪もない。

――――あるのは、強き者が生き残るという結果だけ。つまり…

――――力こそがすべてに優先させる真実。お前は…それを理解している。

「貴様…何者だ?」
光のない義眼で睨みながら、メフィストに尋ねた。

――――戸惑うことはない。メンヌヴィル。私は…お前の影。

――――私と一つになれ。お前の闇の中でも生き残ろうとする様は、我らが主の眷属にふさわしい

――――お前から光を奪った、あの男を焼く力を、お前に…そして世界さえも焼く力を、与えてやろう

メフィストは、黒い霧状の闇となって、メンヌヴィルの中に入り込んだ。
彼はメフィストと一つになったことで、これまでにない力のみなぎりを感じた。

――――お前の力を発揮する機会は必ず訪れる。そしてあの男を焼くチャンスもな…

――――それまで、もっと強くなるがいい…

これが、メンヌヴィルがダークメフィストと一つになった日だった。
いつか、手に入れた闇の力で強敵と殺し合い、焼く楽しみの日が来るのを、彼は待ち続けてきた。
そして光を失ったあの日から実に20年…ようやくその時が来た。目の前にこうして立っている光の巨人。彼もまた焼き甲斐のある相手だ。闇の力をフルに使うに値する戦士。
しかし、本当に焼きたい相手は、彼ではない。

この力で…自分から光を奪ったあの男…『隊長殿』をこの手で。

それが、彼のこの世で最も望んでいる…狂気に満ちた願望だった。



アニエスの頭の中にも、あの日の悪夢が蘇る。
20年前……アニエスはまだ3つか4つだった。父と母に愛され暮らしていたごく普通の幼い子供だった。
だがあの日、彼女の日常は前ぶれなく奪われた。真夜中、自分が寝ている間にその悲劇が起きた。
部屋が、ベッドが熱い。気がつけば彼女の家は炎の中だった。火の熱で起こされた彼女は両親を探した。
「お父さん!お母さん!みんなああああ!!」
だが、父と母の姿も、見知った顔もなかった。すでに炎の中に消えていたのだ。
それでも彼女は走った。誰か他に生き残っている人がいないか。だ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ