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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
Z 同日 PM2:13
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花岡家が表立って如月家を助ければ、それはあまり都合の良いものではなかった。政治や金が絡むため、考えた花岡家は木下家へと監視の役目を依頼したのだ。
 だが…木下さんが入って早々に先々代の異変に気付いて報告したにもかかわらず、花岡家が動く前に先々代は亡くなってしまったのだ。
「その後、刑部のキヌさんが来てくれてのぅ、今後は自分に伝えるようにと言ってくれたんじゃよ。」
 そうか…だからキヌさんは如月家の深くまでを知り得ていたのか…。私はそう一人で納得したものの、今は余計なことを考えている場合じゃなかったな。
「木下さん。前に話してた社へ向かう道なんですが、入り口はどこでしたっけ。」
「行くんじゃな…。まぁ、ここで止めても仕方なかろう。だが、そう易々とは進めんぞ?」
「承知してます。」
 私がそう答えると、木下さんはやれやれと言った風に私達を案内してくれた。
 そこは煉瓦で舗装された道だった。いや…道だったもの…だな。隙間から雑草が伸び、場所によっては煉瓦を砕いて木が伸びている…。まぁ、無理をすれば歩ける…程度ではあるが。
「前にも言ったが、この道は途中で切れとる。充分に気を付けてのぅ。」
「分かりました。では、木下さんは館に戻って下さい。あちらは人手が必要な様ですので。」
「分かっとるよ。」
 木下さんと別れると、私達は目の前にある道に足を踏み出したのだった。
 三十分程はこれと言って不具合はなかったが、突然、目の前に山が現れた。恐らく、両端から崩れ落ちた土だろうが…もはや山同然になっていた。多くの木々が生え、かなりの傾斜がある…登るにはそれなりの装備がいるなぁ…。
「どうしますか?」
「前に進むよ。」
 私は櫪氏に問い掛けると、櫪氏はあっさりとそう言った。しかし…この壁とも言える山を、一体どう登るつもりなんだろうか…?
 私がそう訝しく思った時、櫪氏は懐から一枚の紙片を取り出した。どうやら何かの札のようで、そこには何か書いてあるようだが…私にはさっぱり分からなかった。
「大地よ、尊き生命の源よ。我が血脈に於いてその場を開き、道を直くせよ!」
 櫪氏はそう言うや、その札を目の前の山に向かって投げた。すると、その札は青く燃え上がり、その後に幻想的な光景を目の当たりにしたのだった。
「…これは…!?」
 どういう理屈なのか…急に木々が折れ曲がり、土は端々へと移動し始めた。まるで意思を持って櫪氏の言葉に従っているかの様だ…。随分色んなものを見てきたが、こんなものは今まで見たこともなかった。
「さ、先に進もう。」
 驚いて言葉も無い私を尻目に、櫪氏は何事もないようにスタスタと歩き出した。私は慌てて彼の後に着いていったが、何とも不思議な感覚だった。足は地面についているはずなのだが、どことなく浮かんでいるような感じなのだ。
 そ
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