File.2 「見えない古文書」
W 6.8.AM10:23
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「はい、大奥様。如何なされましたか?」
「この紅茶、砂糖が入っておらんじゃないかい!」
「大奥様…それはお客様にお出ししたお紅茶で御座います…。」
…この家は漫才でも流行っているのか?にしても、何だか重い空気が流れているようでもあるが…。
「うむ、失敬したのぅ。梢さん、悪いんじゃが…」
「分かっております。直ぐに入れ直して参りますので、暫くお待ちを…。」
何だか…自分がここへ何をしに来たか、うっかり忘れてしまいそうだ…。誰が見てもこれは漫才だ…。今の私には、この二人が芸人にしか見えない…。いやいや、そうじゃない。さっさと話を切り出さなくては。
「さて…如月んとこの話かいの?」
私が口を開く前に、婆さんが核心を突いてきた。この婆さん…一体何者なんだ?ふざけてみたり、こうして人の心を読んでみたり…。私は多少訝しく思いながらも、気を取り直して挨拶から入ることにした。
「はい…。先ず、私は相模と申します。先日より如月家へ御厄介になっております。」
「また不可解なことがあったんじゃろ?」
私が説明する間も無く、婆さんはもう分かってると言わんばかりに言った。
「ご存知…なんですね?」
「まぁのぅ…。あの如月の家は、昔から曰く付きと言われとるんじゃ。家…と言うよりも、その家系…と言った方が良いかもしれんがの。おっと、名も名乗らんで済まんかったのぅ。わしゃキヌじゃ。」
そう言って笑っている。なんとも暢気な婆さんにしか見えないが、このキヌと言う婆さん…やはりただ者では無さそうだな…。
「キヌさん。それで、何で如月家の家系に不可解なことが起こると?」
「なぁに、簡単なことじゃて。あの家で何かあるんは、決まって当主か長男、長女のいずれかなんじゃよ。次男二女にはなんもないからの。ま、物音くらいは聞いてたようじゃが、見たとか害があったとかは一度も無かったからのぅ。巻き添え食った使用人もいたが、ありゃ全くの無関係じゃて。」
そこまで話すと、キヌさんはお茶を啜って一息ついた。だが、ここまでの話で分かったことは、飯森氏から聞いた話とさして変わらない。しかし…何故このキヌさんがそれを知り得たんだ?関係者以外、そこまで深く知ることなんて出来ないと思うんだが…。
「お前さん、代々の如月家当主がどんな亡くなり方したか…知っとるか。」
「二人は火災で亡くなったと聞いてますが…。」
「あとはな…転落死、水死、自殺…中には毒殺されたもんまで居る始末じゃ。天寿を全うしたもんは、如月家初代当主だけだと言われとる。」
何ていう家系だ…。だが、そうまでして何であの館に住み続ける必要があるんだろうか?私だったら、とっとと他の土地に移り住むが…いや、家系ならどうしようもないか。でもなぁ…やっぱりこの土地を離れようとはするんじゃないかなぁ…。
「お前さんの
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