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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
U 6.6.AM9:25
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が、彼の名を聞いたことで、私は直ぐ様こう考えたのだった。

彼が事件の真相を覆い隠した…。

 飯森前首相の妻の芳江氏は、現警視総監の姉にあたる人物だ。無論、飯森前首相とも親しい間柄と聞いている。自分に火の粉がかかるような事件を、そのまま放置するとは考え難い。だから…どこにも属してない私に、結城は白羽の矢を立てたのか…。
「木下さん、有り難う御座いました。有意義なお話を感謝します。」
 私はそう言って立ち上がると、木下さんは私へとこう言った。
「探偵さんや。どうか…七海嬢ちゃんと奥様を助けてやっとくれのぅ。」
 私は目を丸くして何か返そうとすると、木下さんは何も無かったかの様に立ち上がり、そのまま仕事へと戻って行ったのだった。
 彼がなぜ私を‘探偵'だと思ったのかは分からない。ただ…見た目だけの老人でないことだけは確かだと言えるだろう。
 私は何だか不思議な気分になった。それは…不安とかいうものではなく、何となく安堵を覚えたのだ。それはきっと、彼が味方だという心強さからきたものかも知れない。

 それがたとえ…見ず知らずの他人であっても…。



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