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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三五幕 「クラッシュ・パフォーマンス」
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イルでも撃ち込まれたような音と共に弾丸が絶対防御越しに腹を抉った。ジャコン、と音を立てて足の踵あたりから薬莢が排出される。立て続けに二発、三発、四発、五発。一瞬間を置き、約束破りの六発目が鳩尾に命中した私は、衝撃に耐えられず胃の中身を吐き出した。

「あーあ、だから気を付けろって言ったのに。人の話を聞かないわね、あなた」
「どう、じで……」
「ん?」
「どうしで……えほっ、私を殺すの……?」

 もう頭がおかしくなりそうだった。ただ、それだけは聞いておきたかった。
 質問に、ルマリーさんはその言葉を待っていたとばかりに歪に微笑んだ。

「あなたがベルーナの隣にいるから。そしてあなたがベルーナを守る者だから」
「……意味、分かんない」
「じゃあ分かるように言ってあげる。あなたを殺したらベルーナの今の三人の友達とやらと伯父も一人ずついたぶって殺すわ。でもベルーナは殺さない。殺さずに死体を一人一人見せてあげて、泣かせて吐かせて叫ばせて心を壊して……私はその壊れたベルーナを愛すの」
「は………」

 もうこれ以上ないと思うほど沈んだ精神が、更に沈んでいくのを私は感じた。
 彼女の言葉は意味が通らない。なのに、彼女が何を言っているのかわかる。それが最高に気持ち悪く、冒涜的で、そして彼を愛すといったルマリーの顔が恍惚に染まっているのが、心底受け入れがたかった。

「あのね、ホルマリンとかベークライトとか使って貴方たちの死体をケースに入れて展示するの。ベルーナは朝に起きて、自分の見た死体は夢だったんだと思ってリビングに降りてくるんだけど、そこに朝ごはんを作って待っている私と、食卓の横にケースを並べておくの。ぐちゃぐちゃになって断末魔の顔だけ残してるあなたたちを見てベルーナどんな顔するかな?発狂しちゃうのかな?失禁くらいはきっとするよね?だから私はそんなベルーナを愛おしく思うの。粗相くらい私が処理するし、脱糞しちゃったって大好きよ」
「……………」
「もう一度目を覚ましたらまた発狂するのかな?それとも自殺するのかな?でも駄目よ、自分の命を自分で散らすなんてそんな悲しいことをしちゃいけないの。だからベルーナのすべてを私がやってあげる。ベルーナの子供だって産んであげるの!名前なにがいいかな?あなたの名前なんていいんじゃない?子供の名前を呼ぶたびに貴方の最期の顔を思い出せるもの!」
「……………」
「――何かいいなさいよ、つまんないわね」

 もう一発、腹部に発砲。胃がめくれ上がりそうな錯覚を覚えながら、私は思った。

 ああ、この人は理由なんて分からないけど心底ベルーナが好きなんだな。

 ああ、この人は理由なんて分からないけど心底狂ってしまっているんだな。





 ああ――こんなヤンデレメンヘラクソビッチ
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