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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三五幕 「クラッシュ・パフォーマンス」
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いたが、目の前に出現したこの女は違う。快楽殺人じゃないし、任務だから殺そうとしてるのでもない。心の底から本当に本気で『下にいる連中など死ぬべきだ』という怒りを以てして、人類史上初記録となるであろうISによる民間人発砲を実行した。

 一分一秒も野放しに出来ない。
 何かしなければ、或いは倒さなければ彼女は撃つ。
 私を無視してでも撃つ。撃って地上に血の地獄を形作る気だ。

「ルマリィィィィーーーーーーッ!!!」

 そして、その破れかぶれの特攻は、最悪の形で失敗した。

「やっぱり、そっちから飛び込んできてくれたね?」
『マスター!!これは罠ですッ!!』

 ルマリーのISの非固定浮遊部位からヴァジュラのようなスラスターが突如として射出される。その正体は、クローアンカーだった。ラウラの使うアンカーと違って数は二つしかなく、しかし明確に相手を爪で捕えようとする二つの兵装は驚くほどあっさりと私の全身をリヴァイブごと絡めとった。
 ユウくんの遣うIS用武器『鎌首』をより実践的に構造に取り入れたものだったのだろう。ギチギチと音を立ててクローアンカーがISの装甲に食い込み、体にかかる圧が段々と増していく。

「ぐ、うあああ……ッ!!」
「まさかここまで早く突っ込んでくるとはちょっと予想してなかったな。本当の本当にお人よしのイイコちゃんなんだね、佐藤稔って!もしかして自分の優しさが他の人の優しさになっていつか世界が平和になるとか真顔で言っちゃうタイプなのかな?」
「そ、そこまでじゃないか……な……それに、私も……」
「なぁに?」
「私も……あなたが街を攻撃する可能性は、考えてたし……」
「その結果がこれね。無様な女よ、ねぇッ!!」

 腹部に衝撃。蹴り飛ばされ、しかも飛んだ瞬間にライフルを三点バーストで二回、こちらが撃った倍の弾を叩き込んできた。うわぁ、本当に……さっきまでこの人がいい人だと思っていたっていう現実が果てしなくツライさんだ。涙を出さないように堪えていたけど、ちょっとだけ出ちゃった。

 人間、いったい何があればこんな存在になってしまうのか。私が一番恐れていた「民間人に刃を向ける」という最悪の展開を防ぐ方法は、人身御供ぐらいしか思い浮かばなかったのだ。ラファールの後のアルキミアという保険をかけてなお、こんなにも恐ろしくて辛い。

 撃たれて宙を舞った身体がクローアンカーで無理やり引き戻され、今度は彼女の足が私の腹に押し付けられた。途端に足の装甲が展開されてまたクローが飛び出し、お腹をがっちり固定する。足で相手を拘束する構造――そしてそのかかとに銃口のような穴があることを、私はレーイチくんの解析結果で知っている。

「とりあえず5発!吐いちゃわないようにお気をつけあそばせ?」

 ドガンッ!!とミサ
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