第九幕その七
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「水と油ね」
「そう、ドワーフ族とエルフ族はね」
ビリーナも応えました。
「まさに正反対なのよ」
「水と油で」
「決して混ざらないのよ」
「そうなのね、これがね」
「これが?」
「お酢と油ならいいのに」
こう言ったのでした。
「本当にね」
「お酢と油なら」
「そう、美味しいから」
「ドレッシングでしょ」
「そう、ドレッシングは美味しいから」
「私はドレッシングは口にしないけれど」
鶏だからです、それでなのです。
「そうなのね」
「水と油ならどうしようもないけれど」
「お酢と油なら」
「それなら」
「そう、いいのにね」
「そうね、ドレッシングならいいのに」
トロットもドワーフ族とエルフ族のことを考えて言うのでした。
「ドワーフ族とエルフ族は」
「そうですね」
「お水をお酢に出来ればいいのにね」
「どうにかならないでしょうか」
「どうしたものかしら、少なくともドワーフ族とエルフ族のいざかいは収めて」
「いざかいをなくす」
「そうしないとね」
こうナターシャに返すトロットでした、そうして。
一行は煉瓦の宮殿に来ました、宮殿は漆黒ですが銀でも飾られています、その銀の量はドワーフの王宮の金と同じ位でした。
その銀の瞬きを見てです、ナターシャ達五人はまた言いました。
「何ていうか」
「この宮殿は銀なのね」
「銀で凄く眩しくて」
「目がチカチカする位で」
「奇麗過ぎるけれど」
「この宮殿の中にね」
またビリーナがお話します。
「闇エルフの王様がいるわよ」
「どんな人?」
ナターシャはすぐにビリーナに尋ねました。
「それで」
「闇エルフの王様もね」
「いい人なのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「悪い人じゃないわ」
「そうなのね」
「けれどね」
「それでもドワーフ族の人達とは」
「水と油なのよ」
ナターシャの言葉をそのまま返しました。
「そうなの」
「やっぱりそうなのね」
「それじゃあね」
「その王様のお話をなのね」
「今から聞いてね」
「わかったわ」
王宮の一番奥まで行くと銀の扉がありその銀の扉を開くと銀のお部屋の中に銀の玉座があり若々しい顔立ちのすらりとした長身、闇エルフの中でもとりわけそうである見事な身なりの人が座っていました。その人にです。
トロットは一礼して皆も続きました、そのうえで。
トロットがお話します、その人に。
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