36話「犬さん、荷車要塞を目撃する」
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いと相場が決まっているな?」
2匹は馬で、丘を駆け上がった。
今まで隠れていた光景が、丘の頂上から見えてくる。
そこに合ったのは――馬車の荷車に、木の装甲版を付けた簡易城塞があった。
肉食動物に怯える草食動物のごとく、円陣を組んでいる。こういう陣地が30個ほど密集していた。
車 門門門 車
車 車
車 馬馬 車
車 車
車 車
車車車車
荷車に設置された装甲版には、各所にボウガン用の穴が空いていて、遠距離攻撃戦で有利になれる作りをしている。
敵の攻撃は装甲板がほとんど防ぎ、その優位を利用して敵軍に損害を出す。そんな仕様だ。
木木木木木木木木木木木
穴穴木木木穴穴木木穴穴
穴穴木木木穴穴木木穴穴
木木木木木木木木木木木
木木木木木木木木木木木
木木木木木木木木木木木
フレイル……鞭の先っぽに金属片を付けた武器を使えば、木の装甲に守られながら近づいてきた敵を近接攻撃する事も可能である。
まともに攻め込めば、遊牧民はこの荷車要塞の周りをグルグルと回る嵌めになって苦労する事だろう。
それを理解したのかバンドはこの荷車要塞を見て驚愕していた。戦史の常識が変わりかねない光景を見た、そんな雰囲気を醸し出している……。
「こ、これが新しい戦術ッスか!?」
「そうだ、装甲をつけた荷車で円陣を組めば、簡易城塞を短時間で作れる。
騎兵はこの防御の前に損害を出し、疲弊して逃げ出した所を追撃して叩いて叩きまくれば……私たちは楽をしながら、国境付近の都市で食料を得て、エルド帝国へ向かえるという寸法だ」
「す、すごいッス!隊長!
戦史が変わるかもしれない新戦術ッス!
あれ……ナポルが無駄死に?」
「無駄ではないぞ。
ナポルは身をもって教えてくれたのだ。
よく考えたら――狭い山道を60万の大軍が通るのは無理じゃね?俺を犠牲にして前へ進んでくれー!オグド隊長ぉー!とな。
どうやら現地では領地相続関連の争いがあったようだが、それでも突破するのは無理なようだな。
美味しい男を無くしたものだ……ナポル、お前の犠牲は無駄にしないぞ」
「そ、そうか……ナポルはそれを伝えるために犠牲になったっス……」
誤魔化されたバンドは、仲間の死を思いっきり美化した。
うむう……実行する前に止めろよ……。
山道を大軍で進むなんて……大勢のゴブリンが脱落すると思う……めっちゃ迷惑で死にかけたし。
『いや、常識で考えたら、進めると思うんじゃね?モフモフ村まで到達したら、西の交通インフラ使えて楽だし』
『犬さん、それは犬さんの願望だお。現実はウンコだお』
現実がウンコ?いや、違うね。
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