35話「犬さんのブラッドイーター戦 終」
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ブラッドイーターはこのようなセリフは言ってないが、そんな感じのセリフを吐いてそうな行動を取った。
僕が作り上げた究極のナイフ。ダマスカス鋼のナイフを手に取り、背中を向けたまま、後ろ手で矢を切り裂き、迎撃しやがった。
軍船を沈没させるエネルギーは、恐ろしい切れ味に真っ二つにされ、ブラッドイーターの頬を切り裂いて、木に着弾してバラバラに四散する。
あ、僕、詰んだ。
ナイフは剣より超軽い。つまりブラッドイーターはもっと早い速度で僕の所までやってこれる。
魔力を大量消費し、腕が痛くなってきた僕には辛すぎる状況だ。
ブラッドイーターも足と手がボロボロで辛いだろうが、こっちは幼体で、向こうは成体。
最後は基礎スペックの差で、僕の人生が詰まれてしまうだろう。
ならば、僕がやるべき事は――奇策あるのみ。獣人の種族特性を生かした最後の罠だ!
「小僧ぉっー!残念だったなぁー!」
「皆ぁー!やれぇー!集中放火だぁー!数の暴力でお前を押し潰すぅー!」
僕は化合弓を掲げて、矢を撃つ素振りを見せた。
「誰が引っかかるか!ここには犬コロとホワイト以外の気配は存在しな――」
ブラッドイーターは気付かなかった。
僕が何のために声をあげたのか。
彼のすぐ後ろにいるホワイトが、残った力で、落ちている黒い剣を拾い上げる――その音を消し、ブラッドイーターの注意力と索敵スキルを逸らすために、僕は声をかけたのだ。
勢いよく突き上げられた黒い剣は、索敵スキルが反応する前に、ブラッドイーターの胸を貫通する。
ホワイトの怪力と名剣が組み合わさった結果だ。
骨や肉を全て切断し……心臓を破壊した。
「ば、馬鹿なっ……動けないはずだ!」
ブラッドイーターは信じられない顔をして、胸から生えている愛剣を眺めている。
「主様が先ほど言いましたが……痛いのを我慢すれば……問題ありません、
あと……拙者への一撃……手加減しましたな……?」
……ブラッドイーターは、どうやらホワイトに思い入れがあったようだ。
考えて欲しい。こんな化物相手に……当時、弟子だったホワイトが逃げ延びる事ができただろうか?
百匹の精鋭ゴブリンを残さず皆殺しにできる手際から考えても、それはありえないと断言できる。
ブラッドイーターは内心で、今の自身の現状に不安を抱き、ホワイトを見逃してしまったのだろう。
獣人とゴブリンは異種族同士だが、獣人には素晴らしい尻尾と獣耳がある。動物みたいなプリティーな可愛さに……ペットと同じレベルで……ホワイトを大切だと思っていたのかもしれない。
「くくくくっ……!ふははははは!
さすがは俺の弟子だ!最後の最後でやりやがった!
この俺に致命打を与えたのは!お前が初めてだ!
残念だ!もっと鍛えてから斬り合いたかった!」
……
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