34話「犬さんのブラッドイーター戦A」
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僕と違って、レンジャースキルを持っていないホワイトは、木々が邪魔で無視できず、余計な周り道をするせいで逃走速度が遅い。
このままでは、ブラッドイーターに追いつかれて、背中からグサリッと殺られそうだ。
持久力の点では僕達が圧倒しているけど、ブラッドイーターは索敵系スキルのおかげで、凸凹だらけの道でも平然と走れているのが厄介だ。
索敵系スキルは移動面でも恩恵を与える良スキルが多いのである。
……うむう……僕のスタミナが犠牲になるけど、ブラッドイーターの息を乱さないと駄目だな……。
「おーい!剣狂いの馬鹿ゴブリン!
略して馬鹿ゴブ!」
「なんて貧相な悪口だ、所詮はガキか」
「馬鹿ゴブはどうしてそんなに剣が好きなんだぁー!」
「ふ、決まっているだろう?
すごく斬れるからだ!」
社会のレールから外れまくりな奴……。
走りながら会話しているせいで、僕とブラッドイーターの呼吸は乱れに乱れ、重い負担となる。
もっともっとペースを乱してやるために、僕は問い続けた。
「お前、友達いないだろ!あと、彼女もいないだろ!」
「知らないのか!俺は剣が友達だ!
決して剣は俺を裏切らない!
嫁を寝取って!金庫の金を盗みっ!俺を借金の連帯保証人にしてっ!道場を売って夜逃げした奴とは違うのだ!」
うむむ……不幸な奴……。
そりゃ剣術だけじゃ幸せな人生は歩めないよな……。
お人好しすぎると、それはそれで破滅を呼び込むのだ。
大陸の国々って、競争が激しくて生活が苦しい奴が多い傾向があるし。
優しい奴がいるとゲスが殺到して、財産とか命とか奪い取って大変なのだろう。
『ブラッドイーターさんの速度がアップしましたぞ!』
『火に油を注いでどうするんだおー!犬さぁんー!』
持久走をやめて、ブラッドイーターが最短距離で迫ってくる。
僕との距離が縮まり、50mほどの距離となった。
……うむう……足の長さが違うから、本気になると早い……。
三歳児の足じゃ、短すぎて、どうやっても逃げられない。
だが、これで良い。
もう、ここは――目的地なのだから。
僕は矢筒から、矢を8本取り出して、化合弓のケーブルに番える。
背後から迫り来るブラッドイーターの位置を、レンジャースキルで探り当て、一瞬で背後を振り返り、矢を解き放つ!
「小僧っ!俺の剣のサビになぁれー!」
「いや、死ぬのは――お前だよ」
8連矢!
ブラッドイーターの胴体に向けて、連続して矢を射出する。
迎撃するために勢いが削がれ、両手に持つ剣が、それぞれの矢を切り払った。
「馬鹿めっ!この距離で、矢が何の役に立つというのだ!」
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