第3章:再会、繋がる絆
第81話「一時の休息」
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見れば、椿と葵がどちらも僕の服の裾を持っていた。
取ろうと思えば取れるが、未だに起きない二人を見ているとなんか憚れる。
「椿も、いつもは隠している耳と尻尾を出してるもんな...。」
普段日常で隠すのが癖になったのか、戦闘時以外は大抵耳と尻尾を隠している椿は、まるで無防備かのように耳と尻尾を出していた。
...それほどまでに、此度の戦闘は激しかった訳だ。
疲労が溜まっているのか、戦闘の意識が抜けきってないって訳だしな。
「寝てるって事は前者だろうけどな...。」
そういって、自然と椿を撫でてしまう。
軽くでも誉めると確実に照れる椿だけど、撫でたらどうなるんだろう?
ふと、そんな好奇心が湧いた。
「....寝てるし、ちょっとだけ...。」
悪戯心で椿の頭を撫でてみる。
「ん....。」
「(...かわいい。)」
耳がピクッと動き、反応を見せる椿。...あ、なんかスイッチ入りそう。
「(し、尻尾も...。)」
起こさないように気を付けながら、尻尾も撫でてみる。
あ、もふもふしてる....。
「んっ....ふ.....。」
「.....落ち着け僕。」
何やっているんだと、ふと気づく。
「(尻尾や耳に触れる機会なんて、すずかの家に行った時の猫くらいだからかなぁ...?)」
動物的な癒しが欲しかったのだろうか?
椿は狐の耳と尻尾を持っているけど、狐そのものではないのに...。
...いや、狐の姿にもなれるから狐では...あるのか?...ダメだ、混乱してきた。
「(とりあえず、狐に触れたいのなら今度久遠にでも頼もう。)」
久遠は人見知りするらしいから触らしてもらえるかは分からないけど。
とりあえず、普段は人として暮らしている椿を動物として見る訳にはいかない。
...かわいいと思ったのは確かだけど。
後、そんな事を言ったら久遠もどうかと思うけど...久遠は普段は狐の姿だから...。
「まぁ、とにかく、起きてく...れ....?」
「........。」
裾を放してもらうために、椿と葵に声を掛けようとして、固まる。
なぜなら、葵がじっとこちらを見ていたからだ。
しかも、滅茶苦茶目を輝かせて。...あ、でも若干羨ましさも混ざってる。
「...いつの間に?」
「優ちゃんが、かやちゃんを撫で始めた辺り?」
葵の応答に、手で顔を覆いながら上を仰ぐ。
...なんというか、見られてしまった感がやばい。
「....黙っててくれる?」
「じゃあ、あたしも撫でて!」
どうしてそうなる。
「撫でられたいのか?」
「かやちゃんだけずるいからね。」
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