第21話 決意の口づけ
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の半身とも言っていい、あの“鞘”の贋作を投影すればいいのだから。
しかし現状ではそれは取れない。
今の士郎の魔術回路の本数は、2人目の魔術師の師である遠坂凛すらも凌ぐほどなので、魔力量が問題と言う事では無い。
では何か?
今更神秘の秘匿などと言う問題を引き出す訳では無い。
単純に文字通り手いっぱいで、百代の体に向けて投影している暇が無いのだ。
だが他に手が無い訳では無い。いや、ある。
だがそれは――――。
「有るのか無いのか、どっちなんだ!」
「・・・・・・ある。けど」
「じゃあ、やれ!」
「だが駄目だ」
「何がだ!」
「お前は女の子なんだから、もう少し自分の身を大切にしろ」
「何の話だ!まったく脈絡を感じないぞ!」
ぎゃあぎゃあと言い合う2人の会話は一向に進展を見せない。
「ライオ・・・・・・トーマスさん?!士郎を説得してください!」
今だ納得できていないが、ライオン顔の変人をトーマスだと無理矢理納得させた百代は、エジソンを頼る。
「ふむ。説得できるのなら、しても構わぬが・・・」
チラッと士郎を見るエジソン。
勿論士郎は抵抗の意を見せる。
その抵抗を百代は反対する。
「私の体の事です!」
「ふぅむ。では――――」
「待っ」
「百代君と士郎が口付けすればいいのだよ」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・は?」」」
「エジソンっ!」
「詳細は省くが、士郎の口から力を貰い、それを百代君自身が回復に使えばいいのだよ」
「あーもう!何で言うんだよっ!」
かなり省いた説明だが、士郎はそれに怒鳴る。
我に返った3人の内の記憶喪失組は、困惑しつつも複雑な面持ちで百代を見る。
そして当の百代は――――。
「士郎」
「だから言ったろ。こんな事出来るワふぐむっ!!?」
「ン、チュル、ンン」
百代から士郎の唇を奪う光景に、エジソンはおおっ!と唸り、フィーネとリザは心底羨ましそうに頬を赤らめ、少し離れた地点からそれを視界に入れたラミーは嘗てないほどに殺意を漲らせ、そして手が止まったラミーのおかげでそれを見たシーマはやっとか・・・と言う感想を抱いていた。
当の本人たちはそんな周囲の視線を気にせずに一瞬であるにも拘らず、まるで永遠とも言える刹那を共有していた。
いや、そんな事を感じているのは百代だけであり、士郎としてはこうなっては仕方がないと腹を括りながら、簡易パスを再びつないで魔力を送り込む作業に没頭する。
そうしないと嫌でも考えてしまうのだ。一度目と同じく、百代の唇の感傷が本当に柔らかい事――――てっ!舌なんて絡めて来るな!!」
反射的に百代を引き剥がし、思わず頬を赤らめて抗議する
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