第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#41
FAREWELL CAUSATION〜PHANTOM BLOOD NIGTMARE FINAL〜
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
立ち向かう、
視る者を否応なく喚起させるその姿は正に、
フレイムヘイズではなく 『人間』 そのもの。
ズグァッッ!!
ティリエルが存在を晒してから数秒待たずに、
シャナを挟撃する形でソラトが頭上から襲来した。
そのまますぐに猛攻を仕掛けて来ると想われたが僅かに理性が残っているのか、
凄爪で手招きをして傍にティリエルを呼び寄せる。
瞬間ティリエルの右腕を覆っていた荊が元の存在力に還元され、
それはすぐさまに別の構成に紡ぎ直され放散、運河に咲く大輪の華々。
それを足場にティリエルは淑やかな跳躍で
ドレスの裾を靡かせながら華麗にソラトの脇に着地した。
『Luuuuu……Guuu……』
「お兄様、御立派になられて」
強堅な血染めの装甲、その胸部に花飾の手を当て
ティリエルは実兄に寄り添った。
言葉は発しなかったが獅子の唸りも幾分和らいだ、
ギラついた凄爪がドレスを傷つけないよう細い腰へ回される。
状況はより最悪に、ソラトとティリエルの合流、
彼我の戦力差は論じる事が愚妹な程に、
文字通り常人と吸血鬼ほどに開ききっていた。
しかし。
「……」
少女は、笑っていた。
傷だらけの躰、血塗れのセーラー服を無惨に晒しながらも
黒衣を戦風に揺らし、長い髪を靡かせながら笑っていた。
「どうした? 何か策でも有るのか?」
対峙する二人に覚らぬよう、極力抑えた声でアラストールが訊く。
「いいえ、何もない。ただ、 “面白くなってきた” と想っただけよ」
「な――!?」
紅世最強の王 “天壌の劫火” をして、
思わず絶句するほどの驚駭を起こさせる少女の返答。
一瞬、少女の存在に重なって別の者の姿が垣間見えたような気がした。
(アイツなら、こういう時多分こう言う。
勝算のない賭けほど、狂気の沙汰ほど面白いとか言ってたから。
前は意味が解らなかったけど今なら解る、いいえ、実感が在る……!)
ナニカが生まれる実感が在る、
どうしようもない絶望、抜き差しならない惨況に
立ち向かう事で初めて生まれる、新たなるナニカが。
「策なんかない、在るのは、たった一つ……」
『LUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA―――――――――――――
――――――――――――――――――ッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!』
終わりを待たず、血染めの獅子がコンクリートを爆砕して強襲する。
「 “勇気” よッッ!!」
大刀を地に突き立てたまま、右手に黄金の長鎖を握り締め、
逆水平に構えた指先を少女は眼前に差し向けた。
←TOBE CONTINUED…
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ