贖罪-エクスピエイション-part5/狂乱のメンヌヴィル
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ンヌヴィルはキュルケが再び恐怖を感じていることに気づき、不気味に微笑んだ。
「メインディッシュを食らう前に、貴様の焼けたにおいでも嗅いでやるとしよう」
今の自分にメフィストに変身する力はないが、それでもまだ魔法が……炎がある。
やられる前にやろうと、アニエスが銃の引き金を引いてメンヌヴィルを撃ち抜こうとしたが、メンヌヴィルの方が早かった。彼女の銃はメンヌヴィルの炎で一瞬で溶かされてしまう。
「なに……!」
「平民は引っ込んでいろ。貴様に用はない」
ならばと、今度はタバサが杖を振るい、頭上に氷の矢を無数に作り出し、メンヌヴィルに向けて発射した。しかし、彼女魔法〈ウィンディ・アイシクル〉の矢は全て、メンヌヴィルの目の前に展開された黒い透明の壁のようなものに防がれてしまう。人間の姿でも、闇の力の一分を扱えるのだ。
「そんな氷では俺の頭も冷やせんぞ?」
「っ……」
「貴様らでは話にならんな。もろとも燃えて……ぬ!?」
メンヌヴィルがアニエスもろともキュルケを焼き払おうとした、その時だった。
どこからか紅蓮の炎に包まれた蛇が現れ、メンヌヴィルを襲った。メンヌヴィルはそれを、炎の壁を作り出して防御する。
邪魔をされて苛立ちを感じるメンヌヴィル。
……しかし、彼のイラつきは一瞬で消えた。この炎、そして温度は……
俺は、この炎を知っている。
「私の教え子たちから離れろ」
違和感とデジャヴに似た感覚を感じながら、メンヌヴィルは今の言葉を発した人物の方に向き直る。
キュルケたちを守るために立ち塞がった者……それはなんとコルベールだった。
「ミスタ・コルベール……!」
今の炎の蛇……キュルケは驚かされた。コルベールも確かにトライアングルクラスのメイジと聞いていたが、気弱で臆病なイメージのせいで全く想像していなかった。それにこの殺気、普段は穏和なコルベールではない。
すると、コルベールの方を向いて……
「…コルベール…だと……」
メンヌヴィルはなにかに気づいたような強い反応を示した後、
「く、くくくくくく…………!!ふはははは……ハハハハハハハ!!!ハーッハハハハ!」
狂いに狂い、耳に残り続けるほどの高笑いを上げた。
「今日はなんと言う日だ!まさか貴様に…長年捜し求めていた貴様とも再会できるとは!ハーッハハハハ!!」
コルベール以外の面々は、誰もが当惑した。奴は何がそんなにおかしいのか。
今の笑い声が響いたせいか、シュウが意識を取り戻した。
「シュウ兄……」
「リシュ、か……」
一番幼いリシュはシュウを見て、安心を覚えた一方、メンヌヴィルが放つ狂気に怯え、彼の服をぎゅっと掴む。
シュウは起き上がり、皆と共にメンヌヴィルの方を見る。あの一撃でもまだ仕留めきれなかったとは、なんてタフさなのか。しかし今は、そんな空気で
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