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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
贖罪-エクスピエイション-part5/狂乱のメンヌヴィル
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ったばかりなのに…」
思わずそのように呟いてしまうコルベール。これほどまでに自分の身を傷つけてでも…彼はいったい何をしているのか。
「シュウ兄…!」
「大丈夫よ、リシュ。タバサはトライアングルクラス。治癒の魔法もお手の物だから」
かなり心配そうに傷だらけのシュウを見つめるリシュに、キュルケが優しい口調で安心を促す。
しかし、安心するにはまだ早すぎた。
「ッ!みんな、伏せるんだ!!」
灼熱の炎が、彼らの周りを壁のように覆い始め、そして襲いかかってきた。間一髪、それをコルベールが気づいて立ち上がり、魔力の壁を作り出して襲ってきた炎を掻き消した。
「すまん、コルベール。助かったぞ………ッ!!貴様は…!!」
アニエスは思わずマスケット銃を構え、銃口をある方角に向けた。キュルケたちも顔を上げてアニエスが見ている方を見やる。
彼らはそれを見て、絶句した。胸元からおびただしい大量の血を流しながらも、足が少しふらついているものの、それでも自分が健在であることを知らしめている姿がそこにあった。
「あんた…まだ生きていたの…!!?」
思わずキュルケが叫んだ。

なんと、相討ちになって元の姿に戻ったメンヌヴィルが、彼女たちの前に現れたのである。

「勝ったと思ったのだが……闇に落ちなくても、俺を同じ状況に追い込むことは可能だったわけか……さすが、だな……」
意識を失っているシュウを見て、メンヌヴィルは乾いた笑みを浮かべる。
「『力の片鱗』だけで、メフィストとなった俺をここまでにするとはな……もし、これが完全なものとなったら……」
自らの口で、自分が邪悪な巨人あの邪悪な巨人だったことを口にし、コルベールらは戦慄する。
奴も奴でかなり消耗している様子だが、それでも余裕があるのが伺えた。少なくとも…ここにいる彼らを焼き殺すだけの余力があるのだ、と。なんというしぶとさなのだろうか。これが彼の執念というものだろうか。
「こいつはますます、手にいれておかないとな……覚醒したこいつとの殺し合いと、奴を焼き尽くした死体の臭い……これだけ焦らされたのなら今までにないほどの甘美なものだろうな」
「狂っている……」
アニエスは思わずそう呟いた。あんな奴、生かしておいたら、たとえ依頼主から頼まれた仕事がなくともどこかでまた人を殺すに違いないという確信がそれを言わせた。
先ほど奴が変身する前に発した殺気と今の状況が重なり、キュルケが強く戦慄と恐怖を覚えた。
たとえ奴が変身できなくとも、先ほどの自分たちを一気に焼き殺せるだけの炎を奴は放ってきたのだ。今の自分たちで、この男を倒せる者などきっといない。
最早こいつは、人間ではない。
「悪魔…!!」
「…くくく、感情の乱れも温度でわかる。
お前…恐怖しているな?今まで何を焼いてきた?」
「や……」

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