贖罪-エクスピエイション-part5/狂乱のメンヌヴィル
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に耐え兼ね、シュウたちを探すために外に出てきてしまったのだ。
「シュウ兄、どこ……?」
いかん!アニエスはすぐに、リシュのもとへ駆け出した。それを、メフィストは見逃さなかった。アニエスがちょうどリシュのもとに駆け付けたところで、彼女たちに向けて闇の光弾を放った。
「隊長!」
部下の叫びが耳にこだました。
しまっ……すでに闇の光弾が自分たちに向かってきたことに気づいたアニエスは自らの身でリシュを覆った。
「グアアアアア!!」
しかし、彼女たちにそれは襲ってこなかった。起き上がったネクサスが間一髪、アニエスたちの盾となって背中にメフィストの攻撃を受けていたのだ。
「っ、ウルトラマン……!」
顔をあげたアニエスは顔をあげて目を見開いた。リシュは恐怖でアニエスの服をさらにぎゅっと握った。
背中から激しい火花が散り、ネクサスを苦しめる。先程までの戦闘のダメージと重なり、彼は膝を着いた。
「闇に落ちないまま、足掻くというのか」
メフィストは傷だらけのネクサスを見て、鼻で笑った。
ネクサスは力を振り絞って立ち上り、メンヌヴィルを睨み付けた。まだ幼いリシュを殺そうとしたこの男の非道な行いが、満身創痍のはずのネクサスの心に火を燃え上がらせた。あの日、彼女が命を散らした病院を包んだ炎のように。
ウエストウッド村を襲われたあの夜と、アルビオン脱出の際に幻影の彼女を目の前で消されたあの時のように。
「ぐ、グウウウウ…………ヴオオオオオオオオオオオ!!」
頭の中をどす黒い感情が支配していく。両腕を血がにじみそうなほど握りしめ、彼は吠えた。
(な、なんだ……!?)
シュウは自分の中から溢れる、強大な力を認識する。おかしい、この力からはウルトラマンの持つ光とは異なる異質な……『邪悪さ』を感じた。以前にも感じたことのある、自分から『自分という要素』が消えてしまいそうな、嫌な感じだ。
(が、やめ……止ま…!…)
今の叫びを聞き、彼の体から溢れ出る黒い波動を見て、
メフィストは感じた。これだ…『この状態の奴』を俺は待っていた!
黒い闇が、光の戦士であるはずのネクサスの体から溢れ出ていた。
ネクサスは両腕にほとばしるエネルギーをスパークさせ、シュトロームソードを形成する。
メフィストは笑うと、メフィストクローを構え直して身構える。そしてそのままネクサスに向けて爪を研ぎ澄ませ、向かっていく。
「ヴアアアア!!」
目の前の憎むべき敵を殺す…殺す!単純で何よりも恐ろしい感情が彼の中を支配した。
ネクサスも剣を振りかざして突撃しようと足を踏み込んだ。
その一瞬の出来事だった。
―――――闇に囚われないで!!
――――!
どこからか脳裏に聞こえてきた、誰かの声がネクサスの、シュウの意識を闇から引きずり出した。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ