第192話 洛陽陥落
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王の所在は特定できたということか?」
「董仲穎の屋敷に幽閉されていたとのことです」
「でかした!」
正宗は気持ちを切り替え真悠の功績を誉めた。揚羽は正宗の言葉を聞き嬉しそうだった。揚羽は妹の真悠が大手柄を上げ大満足であるに違いない。戦後の真悠の地位は約束されたに等しい。
「正宗様、真悠に直々にお言葉をかけてくだされば、真悠も喜ぶことででしょう」
「揚羽、分かっている。真悠には戦後に労を労おうとしよう」
揚羽は正宗から言質を得ると満足そうだった。真悠は命令無視で正宗から冷遇されていた。これで真悠の地位が向上することは実の姉としては胸のつかえが取れた心境であろう。
「正宗様、冥琳殿と朱里殿、桂花殿が動き兵馬の準備を整えております。後は正宗様のご命令が賜るだけにございます。御下知を!」
揚羽は拱手し正宗の命令を待った。正宗は目に強い意志を籠もらせた。禁軍の反乱により董卓軍は浮き足だっているに違いなかった。この好機を逃す正宗ではなかった。
「洛陽へ兵を進めよ! 奸賊、董仲穎を討つべし!」
揚羽は正宗の言葉に拱手し応えた。彼女は陣幕を去ろうとするが、正宗が制止した。正宗は思案している様子だった。揚羽は黙って正宗の言葉を待っていた。
「揚羽、真悠の援護には蓮華を使え」
「蓮華にございますか?」
揚羽は正宗の指示に意図が理解できない様子だった。蓮華は正宗の直臣となったが、初陣を経験したばかりで戦場の経験が浅い。そして、正宗の家臣団の中では外様といえる存在だった。
しかし、揚羽は正宗の意図を理解したのか悪い笑みを浮かべた。
「孫家を割られるつもりですね」
正宗は揚羽の言葉に頷き口を開いた。
「将来を見据えて孫家は二つに割る。孫策と蓮華を当主とする二家だ。各々の家が牽制しあうことが私の利益となると考えている。少々孫策は手柄を上げすぎた。ここらで蓮華にも手柄を立てさせる必要がある。二人の親である炎蓮(孫堅)にとっても悪い話では無いだろう」
正宗は政治家の顔で揚羽に自身の腹づもりを口にした。それを聞いた揚羽は深く頷いた。
「蓮華は正宗様に恩義を感じております。必ずや正宗様の期待に応えてくれましょう」
正宗は揚羽の言葉に頷いた。
「私は軍装に着替える。揚羽は他の者達に伝えておいてくれ」
「かしこまりました」
揚羽は正宗に対して拱手して直ぐさま立ち去った。正宗は神妙な表情で虚空を見つめた。
「真悠が洛陽を炎上させるとはな。手間が省けた。私にとって最早洛陽など必要ない。新たな政は新たな都で行わなければならない」
正宗はそれだけ言うと人を呼び軍装に着替えた。
戦慣れした正宗軍は動きが迅速だった。正宗軍は馬騰軍、孫
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