第66話 罪邂逅
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な」
「?フウエイちゃん可愛いからオーケーよ」
「そうか」
怖くないか......
オレと闘った奴は作品を見た瞬間に恐怖に顔が引きつるのにな
初めて褒められた気がした
認められた気がした
フウエイが寝息を立てるのを確認すると佐天はベッドに座ってサソリを見下ろした。
「それで話って?」
「少し待て」
サソリは立ち上がり、部屋の電灯を消した。
「!?」
「フウエイが起きるだろ」
「あー、なるほど」
「横になりながらで良い。楽な姿勢で聞いてくれ」
「うん」
ガサガサと布団に入る音が聴こえてくる。
常夜灯のオレンジの光が部屋を優しく包み込む。
「......」
「サソリ?」
頭の後ろで腕を組みながらサソリは慎重に言葉を選んでいく。
何がフウエイの為だ
面と向かって話すと話せなくなりそうだから講じた策だ
やはり臆病だ
佐天はそんなサソリを気遣うように
「大丈夫?無理に言わなくても良い......!?ま、まさかの返事!まだ心の準備が」
枕に顔を埋めながら軽く足をバタバタさせている。
「いや、それじゃねぇな」
「ち、違うの?」
ホッとしたような、残念なような
くすぐったい気持ちだ
「オレの過去の事だ」
「!?」
佐天は起き上がってサソリを朧火の中で見つめた。
「いいから横になってろ」
「う、うん......サソリの過去か」
横になってサソリと同じ天井を眺める。
なんか不思議な感じがしてならない。
「オレは人を殺した事がある」
「......」
サソリは話を始めた。
乱暴な始まりだったし、佐天にとってみれば非日常の描写の連続だ。
しかし、彼の真剣な表情と淡々とした口調......緻密な表現が決して大凡の人が体験でない事を物語っていた。
人間から人形を造り、戦闘の道具に使っていた事。
初めての人傀儡は実の両親だという事。
そこは佐天も見覚えがある情景を想起させる。
薄暗い部屋で小さなサソリを無機質な腕で抱き上げている黒髪の女性の人形。
「そして『暁』って組織に身を置いた」
「あかつき......」
国語の時間で習ったようで、意味は朝方の仄暗い様子を表した言葉だ。
そこで更に人殺しはエスカレートしていく。
人を殺しては人形に変え、永遠な美を見出して道を踏み外し続けていく毎日。
数は三百体に近い数字を言った。
もはや絵空事のように途方もない数に思えた。
最後に実の祖母と戦い敗れる所で話は終わった。
そこから先は佐天達と出会い、現在に至る。
サソリにとっても此処はいきなり連れて来られた場所だった。
「信じないならそれで良いし、軽蔑しても構わんぞ」
「う、うん」
正直こんなに濃い内容だとは思わずにどう声を掛け
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