暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第66話 罪邂逅
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
くなる
多くの人間を殺めてきた過去がジワジワと侵食しているようだ

何故だ
何故だ
かつて捨てたはずの感情に掻き乱される
いっその事、母親の思い出す佐天に罵って貰った方が何百倍も楽だと思った。

サソリ〜
サソリさん!
サソリ!

握りしめた拳を見つめながらサソリは少しだけ呼吸を荒げた。
過去を話そうが決して拒絶せずに受け入れる仲間がいるだろうか?

もう逃げられないのなら、それで良い

サソリは胸部の傷をなぞりながら覚悟の意志を硬めた。
「......お前らの為なら」
人形に居場所を見出し、一度は核を射抜かれた身だ。
後どれくらいの時間が残されているか解らない。
オレを信じているバカヤローな奴らの為に使ってやるか
せめてもの取るに足らない罪滅ぼしだ

サソリがお風呂から上がると食卓にはカレーライスが用意されており、フウエイが待ちきれないようにスプーンを片手にジッと見つめていた。
「サイズが合って良かった〜。じゃあ、ご飯食べようか」
黒のパジャマを着たサソリに佐天は和らいだ笑みを浮かべてもてなした。
「ああ」
「早く食べたいぞ!」
「はいはい」

絶対に手に入らないと思っていた時間
だからこそかもしれない
一度喪う恐怖を覚えてから、全てにおいて臆病になった自分が居た

「おいしー!佐天ママはお料理上手だね」
「ありがとう。ほら、口元に付いてるぞ」
「ん、ふえ」
タオルでフウエイの口を優しく拭いていあげる佐天。
「サソリはどう?」
「......美味いぞ」
「ふふ、ありがとう」

戦場に居続けた過去を溶かすような日々の生活。
それはサソリの本質を変えつつあった。
だが、それは避けようの無い地獄へと踏み出す覚悟だ。
深く結びついたからこその苦痛や悩み。

「佐天......後で話をして良いか?」
これだけの事を言っただけで胃に鈍い痛みが走る。
さっき覚悟を決めたと思ったが行動に移してから予想以上の反動が跳ね返る。

「うん、分かったよ」
「すまんな......」
「?」

穏やかな夕食が終わり、食器を片付けて佐天が押入れから布団を取り出して敷き始める。
既にお休み状態のフウエイはベッドの上でウツラウツラしていた。
サソリが手を握ってやるとじんわりと暖かい気がした。

あの時に死んでいたかもしれない命
オレのエゴで生きさせてしまった

弟子のミサカが人傀儡となり、サソリにその姿を見せて生きている様子は罪の意識を増長させる。
かつてのサソリの人ならざる姿を......

「よいしょっと!これでいいわね」
「本当にフウエイと一緒の布団で良いのか?」
「別に良いけど......どうしたの?」
「いや......怖くないのか?っと思って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ