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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十一話 一波纔に動いて
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こうもこっちの事をそう言っているさ』
違いない、他人を操って自分の思い通りにする人間など碌な奴じゃない。

「しかしこれで分かった。ハイネセンでは主戦派がクーデターを起こそうとしたが失敗したという事だろう。オリベイラ達は主戦派に与していた、或いはその疑いが有ったため拘束された」
『ペイワードはハイネセンの指示で動いた、そういう事だな』
「そういう事だろうね」

主戦派が潰されたか……、出来れば内戦で国力を消耗してくれれば有難かったんだが上手く切り抜けたようだ。手強いな、トリューニヒトは思ったよりも手強い。油断は出来ない。

主戦派の後ろには地球教が居るかもしれない。おそらく向こうも分かっているだろうがハイネセンには調査を依頼すべきだな。アンスバッハとフェルナーにも伝えておく必要があるだろう。

「ギュンター、ラートブルフ男爵に伝えてくれないか。私が感謝していると」
『分かった』
「それと無理はするなと伝えて貰いたい。もしかすると疑われている可能性が有る。無理は禁物だ」

キスリングが俺をじっと見ている。もしかすると、いや多分確実にランズベルク伯に知恵を付けた奴を探らせるべきだと思っているのだろう。そのためには多少の無理も止むを得ないと……。

「頼むよ、ギュンター」
釘をさしておこう、ラートブルフ男爵はこちらに協力的なようだ。使い捨てにすることは無い。

『分かった、伝えておこう』
キスリングが苦笑している。多分、俺の事を甘いと思っているんだろう。だがラートブルフ男爵がこちらの協力者だとばれればシェッツラー子爵、ノルデン少将の身も危うくなる。無理をする必要は無い……。

その後アンスバッハ、フェルナーへの連絡をキスリングが行う事を確認して通信を切った。いかんな、もう四時近い。それでもあと二時間程は眠れるか……。いや、考える事が有る、多分眠れないだろう。ユスティーナ、心配しているかもしれん。俺が通信音で起きた時、彼女も眼を覚ましていた。眠っていてくれれば良いんだが……。



帝国暦 489年 2月 20日  オーディン  ミュッケンベルガー邸 ユスティーナ・ヴァレンシュタイン



夫が戻ってこない。夜中に通信が入って部屋を出て行ったきり戻ってこない。十分、三十分、一時間、そして二時間が過ぎようとしている。何か厄介な問題でも起きたのだろうか……。いや、夜中に夫を呼び出すのだ、重大な問題が起きたのは間違いない。

夫はガウンを着て行ったようだけど寒く無いのだろうか、何か着る物を持って夫のところに行こうかと思ったけど、大事な話の邪魔はしたくない。その程度の気遣いも出来ない女だとも思われたくない……、なんてもどかしいのだろう。

気にせずに休めと言われたけど、到底休むことなど出来そうにない。夫が
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