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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十一話 一波纔に動いて
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ない、国力はこちらの方が上だ。
「ペイワードからは事前にレムシャイド伯に連絡が有ったのでしょうか」
『いや、何もなかったそうだ。妙であろう』
「確かに」
リヒテンラーデ侯も同じ事を考えたか……。
事前にレムシャイド伯に対して根回しが無かった、これをどう考えるかだな。突発的に起こしたか、或いはそこまで頭が回らない愚か者か……。いやその前に確認する事が有ったな。
「自由惑星同盟はレムシャイド伯に何か言ってきましたか」
『それよ、レムシャイド伯はそのような事を一言も言ってはおらなんだ。ますます妙であろう』
同盟政府は何も言っていない……。リヒテンラーデ侯もそこに気付いたか……。
「知らないと思いますか?」
リヒテンラーデ侯が首を横に振った。
『それはなかろう』
同感だ、先ずそんなことは無い。となるとハイネセンの了解のもと動いているという事になる……。
『独立ではないかもしれんの』
「操り人が代わりましたか……。新しい操り人はハイネセンですね」
『そうじゃろうの』
オリベイラはクビか。問題は何が理由でクビになったかだ。
「ハイネセンで何が起きたと思います?」
『さて……、オリベイラだけではない、艦隊司令官まで拘束されたとなると……』
リヒテンラーデ侯が俺を見た。その先は俺が言えという事か。
「単なる罷免では有りませんね、クーデターか、或いはそれに類するものか。オリベイラと艦隊司令官の拘束はそれに関係していると思います」
『そんなところかの』
クーデター、おそらくは主戦派によるものだろう。リヒテンラーデ侯が顎を撫でている。顎が細いんだからあんまり似合わないって。
可能性は二つだな、ハイネセンでクーデター計画が発覚した。オリベイラと艦隊司令官はそれに関与していた、よって拘束された……。もう一つはハイネセンでクーデターが起きた。クーデター勢力はフェザーンを直接コントロールしようとしてオリベイラと艦隊司令官を拘束した。そんなところだろう。
クーデターか、どうも腑に落ちないな。フェザーンに駐留しているのは第九艦隊、アル・サレム中将だが政治的な動きをする男なのか? ルグランジュならわかるがアル・サレム……。今一つピンと来ない。となるとフェザーンはクーデターには無関係、ハイネセンでクーデターを起こした連中がフェザーンを直接コントロールしようとした……。
「問題はハイネセンでしょう。今ハイネセンを支配しているのが誰なのか」
リヒテンラーデ侯が“ウム”と言って頷いた。
『……場合によっては内乱になるかの』
「可能性は有りますね」
可能性はある、原作でも内乱が起きたんだ。この世界で起きても不思議じゃない。誰が起こした? グリーンヒルか? だが政府と軍の関係は悪くないように見える。どうも
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