121章 『君の名は。』と、子どもの心や詩の心
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かしたら、
単純に、そういう気持ちだったのかもしれない。
誰にも見られていないような気持ちもあったし。
だれにも届いていないような気持ちもあったし。
何か言えることがあるし。届けられるものがある。
そんな気持ちだけがあるし、衝動だけがあって、≪ほしのこえ≫は作り始めた。』
そんなふうに新海さんは語っていましたよ。
そんな『ほしのこえ』は、2002年に、下北沢にある短編映画専門館の『トリウッド』で、
監督・脚本・演出・作画・美術・編集などの作業をひとりで行った自主製作の、
約25分のフルデジタルアニメーションとして、初上映されたんだよね。
そのときの会場で、新海さんは挨拶して、そのときの拍手が、生まれて初めての自分への拍手で、
いまでも創作のモチベーションになっているって、新海さんは語っているけどね。
やっぱり、子どものような行動力や好奇心や感性がなければ、
こんな創造的なことはできないことなんだろうね」
信也はそう言って、みんなに微笑んだ。おいしそうにピザを頬張って、赤ワインを飲む。
「そうですね。子どものように澄んだ感性を感じます。
ストーリーもすごくいいけど、映像美が、これまでにない美しさです!」
美菜がそう言う。
「そうだよね。映像が、圧倒的に美しくて、精緻で、リアルだよね。
日本で活動するアメリカのギタリストのマーティ・フリードマンさんが、クローズアップ現代で、
アニメーションの世界のエディ・ヴァン・ヘイレンだって言っていたもの。
エディ・ヴァン・ヘイレンは、ロックのギターの世界では、
デヴューした直後から、卓抜したタッピングとかの技術やテクニカルで、
そのあとに続く音楽に、長く、影響を与えたんだよね。
新海さんのアニメはそれに等しいって、マーティさんは言うんだ」
赤ワインに気分もよく酔って、陽気な笑顔で岡はそう言った。
「おれも、あのクローズアップ現代は見ていた。マーティ・フリードマンさんは、視点が鋭いよね。
Jポップとかの音楽評論家としても、おれは感心するしね。
マーティさんが、『1番大事なコンセプトをお祖母ちゃんがいう』って言っていたよね。
『土地の氏神様を古い言葉で『ムスビ』って呼ぶんやさ。この言葉には深い意味がある。
糸をつなげることも結び。人をつなげることも結び。』とか、お祖母ちゃんはいっている。
『君の名は。』では、遠く離れた二人を結ぶものとして、
組紐が象徴的に描かれているじゃない。
運命の赤い糸を連想させるような組紐だよね。
それが効果的に使われて、観客に、人との結びつきとか、思い出させたりして、
感動を呼んでいるだよね、きっと。人生にとって、出会いがいかに、大切なことかって。
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