121章 『君の名は。』と、子どもの心や詩の心
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でこんな歌を詠んでるんですよ。
『思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを』っていう歌だけどね。
訳すと、『あの人のことを思いながら、眠りについたから、夢にでてきたのだろうか。
夢と知っていたなら、目を覚まさなかっただろうものを。』っていうんだけどね。
いい歌だよね。あっははは。おれたちの心にも、すごくわかるし、共感があるよね。
これが、1000年以上も前の歌だもんね!いい芸術は、時を超えて、
いつまでも、人の心に感動を呼ぶってことだよね」
信也はしみじみとそう言った。
「そういえば、新海監督は、NHKの『クローズアップ現代』で語ってましたよ。
≪夢で真実を知るというのは、ずーっと、日本の文学や実際の生活の中で、
繰り返し語られてきたし、ぼくらの実感でもあるんですよ、今でも。≫とか。
≪夢で、本当に好きなのは誰なのかを知るとか、そういう僕らの実感みたいなものに、
まあ、この物語がマッチしたんじゃないかと、1つ思いますね。≫とか言ってましたよ。
さすが、新海さんは、すごいとおれも思いましたよ。しんちゃん!」
そう言って、信也と目を合わせて微笑む、岡だ。
「新海さんは、やっぱり、子どものような澄んだ視線で、世界を見ている人って感じで、
やっぱり、芸術家や詩人的って感じがするんだよね。やっぱり、おれの持論のようなもんで、
人間、子どものころの童心を忘れたら、ダメなんじゃないかな?
そんな子どもの心を忘れてしまったら、人生を楽しめなくなると思うよ。
新海さんのデビュー作は、地球と宇宙の超遠距離恋愛の『ほしのこえ』だけど、
『ねえ、わたしたちは、宇宙と地球に引き裂かれる恋人みたいだね。』と、
主人公の男女が同時に語るセリフがあるけど。あれは、とても象徴的で、印象深いよね。
新海作品に通底する、心が通じているのに、届かない、もどかしさ。そんな心の通い合いは、
この1作目から描かれているんだよね。
新海さんは、29歳のときなのかな、
ゲーム会社でCG(コンピューターグラフィックス)デザイナーをしていた新海さんが、
会社を辞めて作ったのが、
自分の悩みから、解き放たれる転機になったという、この『ほしのこえ』なんだよね。
新海さん、ご本人は、テレビで、こんなことも語ってるよね。
『とにかく、作りたいという衝動だけだったんですよね。それと同時に、
いろんなことがうまくいっていなかった時期ですよ。
いろんな人間関係とか、友人関係とか、会社との関係とかだったりして。
何か、もう≪言いたいことがあるんだ≫と、・・・何があったんだろう?でも、
とても恥ずかしいんですけど、≪ほしのこえ≫って、
最後、≪ぼくはここにいるよ≫という言葉で終わるんだけど、もし
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