俺の四畳半で美少女が眠っている件
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ようが居まいが大して気にしないのだ。
そんな俺の部屋に美少女が寝ていたら。
絶っっ対、無実信じてもらえない。そんな信頼関係築けてないと自信持って云えるわ。『淫行未遂』『家庭崩壊』『懲戒免職』などの不吉な四字熟語が、頭の中をぐるんぐるん回って止まらない。これ走馬灯かな。ああ、もうすぐ訪れる俺の社会人生命の終焉を思えばこれも一種の走馬灯か。あいつが食べたいと言っていた『緑寿庵』の金平糖を百万遍で購ってきて鞄に入れてある。これを渡せずに俺、終わるのかな……。人生初の罪状が淫行じゃ、俺もう会ってもらえないだろうなぁ。
会社のほうも、こんな事情で捕まれば復帰は無理だろう。やむを得ぬ殺人とかのほうがまだ心証的には復帰の目がありそうだ。以上のことがあと一時間足らずで俺に降りかかるわけだが俺は……。
……まてよ、もしかしてこの美少女、俺の娘……?
男子三日会わずば括目して見よ、などという。成長期男子の変わりっぷりを示す言葉だが、女の子もよく云うじゃないか。急に美しくなると。なんかもうすごい別人っぽいが、よく見るとあの日の面影が垣間見える…気がする。目が二つあるところとか、意外にもエラじゃなくて肺で呼吸しているところとか…。
いやごめん娘!父さん嘘ついた!
これ絶対他人だ。種族とか人種以外の共通点が見当たらないし、いくら何でも2カ月であの6頭身が8頭身へ進化とかライザップでもコミットできまい。この美少女が娘だったら何の問題もないのになぁ…などと淡い期待を抱いてしまっただけだ。ぶっちゃけ現実逃避である。
―――逃避をしている場合じゃない。このままでは俺に関わる全ての人間が不幸になる。俺は静かに額に手を当て、やがて一計を案じた。
俺は少女に気づかれないようにドアを開けて外に出ると鍵をかけ、その鍵を植え込みに投げ込んだ。
これで俺は『鍵をなくした間抜けなおっさん』となった。
「あれ〜?あれあれ?鍵はどこだぁ〜?」
近所に聞こえんばかりに大きな声で叫びながら体のあちこちを探しまくる。
「どうしようかなぁ〜、大家さんに相談したらいいかなぁ〜」
この調子で大家のおっさんにマスターキーでドアを開けさせ、俺は大家と一緒にビックリする、寝てた美少女は『きゃっごめんなさいごめんなさい』となって一件落着。走り去った美少女、困惑する俺と大家。そしてタイミングよく帰ってくる娘…
「あれ、パパ早くね?」
………。
………。
なんちゅうタイミングで帰ってくるかこのバカ娘――――!!!
「なに、鍵なくしたの?」
脇から変な汗がだっくだくに染み出し始めた。多分今の俺、直径15センチくらいの汗染み出来てる。落ち着け俺、なるべくフレンドリーにさりげなくだ。
「ちょ…ま、あのね、大家に、大家にね
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