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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
787部分:第百二十一話 放たれた矢その四
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第百二十一話 放たれた矢その四

「勝てはしないものだ」
「アーレスの力故か」
「アーレス様は貴様等を倒される」
 彼にとってはだ。このことは既に定まったことであった。運命として考えてそのうえで言ってだ。語ってみせているのであった。
「そして我等と共にオリンポスを攻められるのだ」
「そのうえで天界も制圧するというのか」
「そして神々の長となられる」
 これこそがであった。彼の理想の未来であるのだ。それを語ってみせているのだ。
「それは間も無くのことだ」
「では私はか」
「その礎となるのだ」
 それであるというのである。
「光栄に思うのだな」
「光栄か」
「そうだ、アーレス様は貴様等のことを決して忘れられぬ」
 言葉は笑っていた。
「そして私もだ」
「また蘇るか」
「言ったな。我等は何度でも蘇る」
 このことも言ってみせたのだった。
「幾らでもな」
「だからか」
「そうだ、倒れはしない」
 確かに今身体は倒れている。しかしなのだった。
「決してだ」
「何度でも蘇るか」
「それも貴様等と同じだ」
 また言ってみせたのだった。
「それを言っておこう」
「しかしこの生では最早会うことはない」
 今の言葉を終えるとだった。アイオロスの身体が微かに揺らいだ。そしてデイモスもそれを見逃さなかったのだった。鋭くだ。
「先程の技に命を賭けていたのは嘘ではなかったのか」
「黄金聖闘士の最大の技は己の命を入れる」
 これを告げたのだ。
「勝利の為にだ」
「勝利の為にか」
「そうだ、勝利の為にだ」
 こう言うのだった。
「その為に全てを賭けるのだ」
「見事だな。あの神々はだ」
「それも違うか」
「戦いは余興に過ぎない」
 それだというのだ。
「その程度にしか考えていないのだ」
「その程度か」
「戦いも何もかもだ」
 そしてだ。デイモスは言った。
「アーレス様は戦いの中にこそ全てを捧げているがだ」
「アテナとは全く違うか」
「同じものではない。我等にとってはだ」
「どうだというのだ」
「アテナよりもだ」
 アテナも確かに憎むべき敵だ。しかしそれ以上にだというのだ。
「あの神々が憎い」
「アーレスを愚弄したからか」
「そうだ。アテナは少なくともアーレス様を愚弄したりはしないな」
「アテナはそうした神ではない」
 アイオロスもそれは否定した。
「誰かを愚弄することはだ。それはしない」
「否定はしたがな」
「否定はするし批判はする」
 それはだという。
「だが。愚弄することはない」
「それは決してか」
「そして嘲笑も罵倒もしない。侮蔑もだ」
「アーレス様は全てを受けられた」
 またアーレスのその忌まわしい過去の話をする。
「そうしたことの全てをだ」

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