第十一章
[8]前話
「運動不足になるわよ」
「昔だよ、運動不足は」
「歩いたらいいのに」
「だから寒いから」
「そんなのじゃ足腰弱くなるわよ」
「それでも寒いから」
「寒い寒いって。全く」
彩加はコタツの中の蜜柑を取りつつ言った。
「どうしようもないんだから」
「そう言うけれどね」
「寒い寒いじゃないの」
兄の小さな目を見ての言葉だ。
「ちょっとは運動もする」
「今度はそう言うんだ」
「運動不足も健康によくないのよ」
「それは僕も知ってるけれど」
「今年もやれやれになりそうね」
蜜柑の袋を口の中に入れてだ、兄にまた話した。
「お兄ちゃんについては」
「やれやれなんだ」
「そうよ、もっと健康的にならないと」
「駄目っていうんだ」
「そうよ、そのうちいい人も見付けて」
結婚相手のことも話すのだった。
「幸せになってね」
「結婚ねえ」
「考えてないでしょ」
「そうしたことは」
「そういうことも考えていかないと」
こう言うのだった。
「いいわね」
「ううん、じゃあ」
「ただ科学者としてだけでなくて」
「そうしたこともなんだね」
「やっていくのよ」
「今年は」
「神様にお兄ちゃんのこともお願いしてきたから」
彩加は兄にこのことも話した。
「頑張るのよ」
「僕のこともお願いしてきたんだ」
「そう、だからね」
「今年はそういうこともだね」
「頑張ってね、いいわね」
「うん、わかったよ」
耕太は妹の気遣いに感謝しつつだ、そうして頷いた。そのうえで今年はそうしたことも頑張ろうと思った。それでこう妹に言ったのだった。
「今からご近所の神社にお参りしてくるよ」
「じゃあね」
「帰りにコンビニでワイン買って来るよ」
「それをおとそにするのね」
「そうするよ」
こう言ってどてらを着てだった、耕太は部屋を出てだ。自分も参拝に行ったのだった。
初詣 完
2016・12・30
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