第五章
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「萌美生地と蛸頼むわ」
「蛸切るんやな」
「ぶつ切りでな」
「たこ焼きのそれか」
「そや」
まさにというのだ。
「それで頼むわ」
「それやったらな」
「あと紅生姜に揚げ玉もな」
そういったものもというのだ。
「用意頼むわ」
「用意するの一杯あるな」
「たこ焼き焼かな」
美咲は手を止めない、焼くそれを。
「お客さん見てみいわ」
「どんどん来るな」
「そやからな、焼いてな」
そしてというのだ。
「食べてもらうで」
「商売やな」
「そや、折角お店出せてもらったんや」
それだけにというのだ。
「焼いてな」
「売るんやな」
「そうするわ」
「ほなうちも家はそうしてるし」
萌美の方もというのだ。
「あんたの手伝いするで」
「ほな頼むわ」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
二人は正月から働いていた、しかしその顔は笑っていてすっきりとしたものだ。そしてその二人の店のたこ焼きを買って食べて。
奈々は一緒にいる母の香枝にこんなことを言った。
「お父さんの分もね」
「うん、買ったからね」
香枝は奈々微笑んで応えた。
「帰ったらお父さんにお土産よ」
「そうよね、けれどね」
「けれど?」
「折角のお正月なのに」
奈々はここで暗い顔になってこうも言った。
「お父さんお仕事なんて」
「それは仕事ないわよ」
「お正月でもお仕事ってあるね」
「その人のお仕事によってね」
そうだとだ、母は娘に答えた。
「そうなのよ」
「だからお父さんもなのね」
「お正月でもね」
「お仕事なの」
「このことは仕方ないから」
だからだとだ、香枝は娘の奈々にさらに話した。
「お父さんにはお土産を買って帰るのよ」
「たこ焼きね」
「出来たらたこ焼き以外もね」
他のものもというのだ。
「買ってあげましょう」
「それじゃあ」
「次はね」
香枝は奈々に笑顔で話した。
「お好み焼きがいいかしら」
「お好み焼きもお父さんに買って帰るのね」
「お父さんお好み焼きも好きだから」
それでというのだ。
「買ってあげましょう」
「それじゃあね」
「一緒に行きましょう」
「帰りましょう」
こう話してだ、そしてだった。
母娘で色々と買ってそうしてお土産にしていた。食べるのも忘れないがそちらも忘れてはいなかった。その奈々を見てだった。
亜里沙は一緒にいる友人達にこんなことを言った、共に出店でものを買ったり遊んだっり食べたりして楽しんでいる彼女達に。
「あの娘どっかで見た気がするわ」
「どっかって何処やねん」
「鶴橋かいな」
「いや、何処やったかな」
そう言われるとだった、亜里沙も首を傾げさせて言った。
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