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Three Roses
第二十七話 戦いのはじまりその四
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「決して、ですから」
「左様ですか」
「そうお考えなのですか」
「はい、その為には」 
 是非にと言うのだった。
「私も賛成します、この国の未来について」
「ロートリンゲン家の血が入り」
「そしてこの国もロートリンゲン家の勢力圏となる」
「このこともですね」
「よいとされますね」
「エヴァンズ家の血は残ります」
 マイラを通じてだ、このことは確かだった。
「そしてこの国が王国であり続けるなら」
「それならばですね」
「王女様もですね」
「納得して頂けますか」
「このことについて」
「はい、あくまでこの国が王国であるのならば」 
 それならばというのだ。
「私も構いません」
「ではお願いします」
「お子をもうけ下さい」
「太子との間に」
「そうされて下さい」
「誓います、神に誓って」
 こう話してだ、そしてだった。
 マイラは摂政になることとロートリンゲン家の血を受け継ぐ子をもうけることを神に誓うと共に側近達にも約束した。この話は自然と太子の耳にも入った。彼女の側近達は口は固かったが彼の耳と耳はそれ以上だった。
 それでだ、彼の側近達に言うのだった。
「妻はよき女性だ」
「ご自身から、ですね」
「太子とのお子を求めておられる」
「だからですね」
「よい方だというのですね」
「そうだ」 
 まさにとだ、太子は葡萄酒と馳走を楽しみつつ食卓を共にする側近達に話した。
「ならば私もだ」
「奥方様のお望みにですね」
「応えられますね」
「最初からそのつもりだったが」
 それと共にというのだ。
「しかしだ、細君が望むならな」
「応えられますね」
「是非共」
「そのつもりだ、私と細君の間に生まれた子がだ」 
 まさにというのだ。
「この国の王となる」
「そして、ですね」
「この国もまた、ですね」
「ロートリンゲン家のものとなる」
「そうなりますね」
「子が生まれだ」
 そして、というのだった。太子はここで。
「この国が旧教に戻ればな」
「この国もロートリンゲン家のものとなり」
「周辺の三国もですね」
「統一と共にロートリンゲン家のものとなる」
「そうなりますね」
「その通りだ、私はそれを目指す」
 まさにというのだ。
「むしろこの二つが適わないとだ」
「この国はロートリンゲン家のものとならない」
「そうなりますね」
「その通りだ、どちらも適わないとだ」
 子をもうける、そして旧教の復権の双方がというのだ。
「この国は我々のものとならないのだ」
「そう思うと厄介ですね」
「どちらもとなりますと」
「どうしても」
「子は神が授けて下さる」
 まずは子についてだ、太子は述べた。
「我がロートリンゲン家は多産の家だがな」
「殿方も姫君も」

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